2024年10月6日(日)、東武宇都宮駅近くの映画館「ひかり座」で、「パリのちいさなオーケストラ」を鑑賞しました。17歳の高校生ザイア・ジウアニが自らオーケストラを立ち上げた実話を描いた映画でした。
「パリのちいさなオーケストラ」のチラシ
指揮者を目指すアルジェリア系のザイア・ジウアニ(1978年生まれ)が、パリの名門音楽院への編入をきっかけに、当時ミュンヘン・フィルの首席指揮者であったセルジュ・チェリビダッケに指導を受け、音楽を学ぶ。そして、貧富の格差なく誰もが楽しめるように、パリ市内の上流家庭出身の生徒たちと移民の多いパリ近郊の地元の友人をまとめ、垣根を超えたオーケストラを結成した。(以上、チラシを参考に一部改変)
この映画が実話であることに、まず驚きました。17歳の高校生ザイア・ジウアニが1998年に立ち上げた「ディベルティメント・オーケストラ」。現在も70人程の団員を有し、交響曲に加えてワールドミュージック、伝統音楽、ポピュラー音楽など幅広いレパートリーで年間約40回のコンサートを開催しているそうです。
今年パリで開催された「パリオリンピック」の閉会式では、ザイア・ジウアニ指揮ディベルティメント・オーケストラによって、フランス国歌が演奏されました。
この映画の見どころの一つは、当時ミュンヘン・フィルの首席指揮者であったセルジュ・チェリビダッケが登場することです。もちろん本人ではなく、風貌がそっくりな俳優が演じています。
ザイアが16歳の時(1994年)、パリで開かれていたチェリビダッケのマスタークラスを受講し、チェリビダッケの側近に認められます。その後1年半にわたってチェリビダッケの指導を受けました。チェリビダッケは1996年に84歳で亡くなっていますので、まさに晩年の2年間で、指導を受けていたことになります。チェリビダッケは気難しいことで有名でしたが、こんなに親身になって指導していたことに驚きました。彼女に、当時、女性が指揮者として成功することは難しい時代だったけれども、彼女なら絶対にできると励ましてくれたそうです。
指揮者になるためには、普通は、指揮者のコンクールで入賞するとか、オーディションに受かるかするわけですが、ザイアの凄い所は、そんな回りくどいことをしないで、自分でオーケストラを作って指揮者になろうとしたことです。もちろん、オーケストラを作るにはお金がかかります。しかし、お金で人を集めるのではなく、自発的に一緒にやってくれる仲間を作り、市長を説き伏せ、お金を出してもらいます。そして、それが現在も続いているのです。
あまりにもローカルなオーケストラなのか、Wikipedia で「ディベルティメント・オーケストラ」を検索しても出てきません。実際に、どんな風にオーケストラを運営しているのか興味あるところです。パリオリンピックを盛り上げるために、急に脚光を浴びたのかもしれませんが、やはり、実話である、という説得力は大きいです。クラシック音楽が効果的に使われており、音楽好きには楽しめる映画です。
パリオリンピックに合わせて、CDも発売されました。
ところで、この映画はメジャーな映画館では上映していません。栃木県内では、東武宇都宮駅近くにある「ひかり座」でのみ現在上映中です。古き良き映画館といった感じで、落ち着きます。
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