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​身近な風景

執筆者の写真tokyosalamander

「乳歯」の生物学

更新日:3月30日

8月17日(木)。5か月児「利都」くんに生えてきた乳歯です。14日(月)に気づいたそうです。


歯は、人間はもとより、動物にとって生命を維持する上で、とても重要です。


脊椎動物の場合、歯の機能や役割として、①獲物をつかまえるため、②食べ物を食いちぎるため、③食べ物をかみ砕くため、④相手を攻撃したり,身を守る武器、⑤物をくわえて運ぶとき(人間の手のかわり)などがあります。


さらに人間は、咀嚼(食べ物をかみ砕くこと)だけでなく、発声にも関係しています。歯が欠けると、うまく言葉が話せなかったりしますよね。さらに、白い歯の印象で魅力度がアップ、ということも。



ところで、脊椎動物では、歯の形や生え方は様々です。


まず、魚類や爬虫類は、何度でも同じ形の歯が生え変わります(同形歯性、多生歯性)。サメの歯は、1列ごとに生え変わり、一生の間に1000本くらい生え変わります。


両生類の仲間は、有尾類(イモリやサンショウウオ)は、顎の上下に歯がありますが、無尾類(カエル)は、上顎にしか歯が生えていません。

ウシガエルの骨格標本(上顎にだけ歯列があります)


鳥類になると、口がクチバシになったため、歯は退化しました。歯をなくすことで、体重を軽くし、空を飛ぶことに適応しています。ちなみに、鳥類に近い関係にあるカメにも歯はありません。(カメタイプの怪獣ガメラには恐竜のような歯が生えています。さすがに歯のない怪獣は弱そうですからね)

アオウミガメの骨格標本(口にはクチバシがあり、歯は生えていません)


カメタイプの怪獣ガメラ(クチバシはなく、歯が生えています)



次は哺乳類です。形や大きさの違う歯(門歯、犬歯、臼歯など)が生えています(異形歯性)。ネズミやリスなどの齧歯目(げっしもく)では、門歯が一生伸び続けます。生え変わる、ということはありません。このタイプは「一生歯性」と呼ばれています。


それでは、ヒトではどうでしょうか。

実は、多くの哺乳類は一回だけ生え変わる「二生歯性」です。何度も生え変わるシステムはコストがかかり、多くのエネルギーを必要とします。また、歯が欠けている期間はその生物にとって大きなリスクでもあります。また、一生伸び続ける「一生歯性」は門歯だけなので、多様な「異形歯性」には対応できません。


そのため、性能が良く、長持ちする歯を一回だけ生え変えさせることで、コスパを追求し、さらに歯が抜けている期間を極力短くするシステムが誕生しました。それが、乳歯と永久歯による「二生歯性」です。永久歯がすり減る頃がその種の寿命になってきます。


歯は、動物の種類あるいは食べ物の違い(草食、肉食、雑食)などによって形が違ってきます。そのため、考古学や進化の研究の重要な材料になったり、動物学的な分類に利用されます。


5か月児の利都くんは、乳歯が生えてきたことによって、いわゆる離乳食ステージに入りました。少しずつ成長し、人間に近づいていることを感じます。


「利都」くんの手の形が「野菜パン」と同じ形になってきました。これは、たまたまの偶然で、生物学的な意味はありません。




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