2023年12月31日(日)大晦日。足利大学大学院工学研究科 修士課程 情報・生産工学専攻の藤本泰誠さんが、高校生に最も伝えたいことを「Beautiful Words 」として紹介します。今年最後の更新です。
藤本さんは、高校3年生の時、足利大学工学部機械分野の教授と出会い、ぜひここで学びたいと思ったそうです。高校生の時から、ものがどういう仕組みで動いているのかに興味があり、使わなくなった冷蔵庫を分解するなど、機械の仕組みを解き明かすことに喜びを感じる高校生だったそうです。
大学では、「ものづくり工房」に入りました。そこで、野田佳雅先生と出会ったことから、「ものづくり」を楽しいと思えるようになったそうです。また、大学入学後、偶然、高校時代の先生に出会ったことがきっかけで、進路に悩んでいる生徒の背中を押せるような教師になりたいと思うようになりました。大学で教員免許を取得し、大学院では工業高校での非常勤講師も兼任しています。今、藤本君が感じていることは、より若い世代の深刻な「ものづくり」離れです。コロナの影響がそれに拍車をかけたことは否めませんが、どうしたらそれを食い止めることができるか、研究室の野田先生とともに真剣に考えています。
そこで、大学院での研究テーマを、「3Dプリンターを用いた教育ツールの提案」と定め、3Dプリンターを使って、実際にものづくりを体験できる教材(指導案)を作成しています。これまでに5つの高校で実践し、改善しています。
12月12日(火)、佐野東高校の2年生の物理選択者約40名を対象に授業を行いました。工業科ではなく、普通科の生徒に授業をするのは今回が初めてでした。授業1コマ(45分間)では3Dプリンターを動かすことはできませんでしたが、3Dプリンターを使ったものづくりの楽しさを熱く語る藤本さんに惹かれ、たくさんの生徒が興味を持ってくれました。
そこで、興味を持った生徒たちが、冬休み中に、3Dプリンターを使ったものづくりに挑戦することになりました。
12月28日(木)9時~14時30分。今回は機材等の関係で生徒4名が受講しました。
この日は、CADソフトと3Dプリンターを使って、ふくろうのペンダントを作成することにしました。
CADソフトを使った作業は根気がいりましたが、皆、真剣に取り組んでいました。
最後に、藤本さんがチェックしています。
CADソフトでの作業を終えた生徒から、3Dプリンターを使いました。
3Dプリンターで作られたペンダントを取り外しています。
紫外線を当てて硬化させます。
それぞれのフクロウが完成しました。
どれもフクロウですが、一つとして同じものはありません。それも、ものづくりの楽しさなのかもしれません。
今回の講座の中で、「ものづくり」とともに魅力的だったのは、いろいろなタイミングで、藤本さんが自らの「ものづくり」への思いや進路を選択する際に大切なことなどを同世代の先輩として、語りかけてくれたことです。
そんな中で、藤本さん自身が、「高校生に一番伝えたいこと」として発した言葉を今回の「Beautiful Words」として紹介します。
☆「身の回りには、考えることがたくさんある。」
この言葉には、ものづくりの出発点、という意味はもちろんありますが、高校生がどんな分野に進むとしても必要なこと、というように感じました。そして、その言葉の裏には、自信をもって自分の未来を切り拓いてほしいと願う、藤本さんの愛情があることを参加した高校生たちも感じとっていました。私も、このような素晴らしい学生が足利大学にいることを誇りに思いました。
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