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​身近な風景

執筆者の写真tokyosalamander

はっけん!小型サンショウウオ

更新日:2023年9月29日

9月28日(木)。緑書房から「日本のいきものビジュアルガイドシリーズ」の最新刊「はっけん!小型サンショウウオ」が発行されました(10月10日発行)。

とても素晴らしい本です。緑書房から表紙画像の使用許可をいただきましたので、本書の紹介をしたいと思います。


ところで、ごく一般的に「サンショウウオ」と聞くと、あの「オオサンショウウオ」を思い浮かべる方が多いと思います。井伏鱒二の短編小説「山椒魚」を国語の教科書で読んだことのある方は、「山椒魚=オオサンショウウオ」のイメージが刷り込まれているのではないでしょうか。


本書は、まず「小型サンショウウオとは」から入り、繁殖の仕方、分類へと進んでいきます。そして、「日本にくらす小型サンショウウオ」全50種が、素晴らしい写真とともに紹介されています。とても自然な流れです。


続いて、小型サンショウウオの体について、近畿地方に広く分布している「ヤマトサンショウウオ」をモデルに、体の各パーツをクローズアップして見せてくれています。さらに、ヤマトサンショウウオの繁殖を中心に、四季を通しての暮らしを写真で紹介しています。


読んでいくうちに、日本の小型サンショウウオについて、概要を知ることができます。また、自然写真家の関慎太郎氏による素晴らしい写真によって、小型サンショウウオの魅力に引き込まれます。ところで、関慎太郎氏は、栃木県日光市にある「日本両棲類研究所」(篠崎尚史所長)の展示飼育部長でもあります。関慎太郎氏によって、同研究所の日本産小型サンショウウオ約20種が採集飼育されています。


さて、ここまでだったら、普通の図鑑かもしれませんが、本書の後半の内容が大変充実しています。以下のような構成をしています。


小型サンショウウオの飼育方法

 →サンショウウオを研究対象にするための必須の知識を得ることができます。


小型サンショウウオQ&A

 →何を食べているのか、寿命はどのくらい、など素朴な疑問に答えてくれます。


小型サンショウウオに今起こっていること

 →減少した原因、レッドリスト、小型サンショウウオを守るための法律等。


文化・歴史のなかの小型サンショウウオ

 →食文化という観点からサンショウウオと人間とのかかわりを知ることができます。


研究者からのメッセージ

自由研究のすすめ

→ともに、一見さらっと書かれていますが、実は小型サンショウウオ研究の最前線を紹介しています。本書の本気度が伝わってきます。


小型サンショウウオに会える施設

→ここでは、国内4か所の水族館・動物園を紹介しています。しかし、一つ大事な場所を忘れてはいませんか、と感じました。それは、栃木県日光市にある「日本両棲類研究所」です。ここでは、国内産約20種、外国産約15種の小型サンショウウオが常設展示されています。我らが篠崎所長がいらっしゃれば、直接お話を伺うこともできます。


小型サンショウウオを探究する大学

→栃木県東部(茂木町)に生息している「イワキサンショウウオ」を新種記載した京都大学西川研究室も紹介されています。昨年10月、修学旅行の際に訪問させていただきました。ホームページも大変充実しています。


用語解説、参考文献

→初心者から研究者までを意識し丁寧に説明しています。


以上のように、本書を読むことで、小型サンショウウオに関する最前線を知ることができます。まさに「大人も子どもも親子でも 小型サンショウウオのことが楽しみながらわかるビジュアルガイド」です。


小型サンショウウオに興味を持っている方はもちろん、中高の科学部などで、小型サンショウウオについて研究している生徒にとっては、必読書だと思います。


ぜひ、手に取って読んでみてください。


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