2024年10月20日(日)、常連の草野さんから、クロマダラソテツシジミの写真が届きました。普段、あまり見かけない珍しい蝶のようです。
「クロマダラソテツシジミ」その名前が示す通り、幼虫はソテツの若芽を食べています。もともとは南方系の蝶で、日本にはいなかったチョウです。国内では1992年に沖縄で初めて報告されました。
以下は、朝日新聞デジタル2020年11月12日の記事からの引用です。
「大阪府立大の平井規央教授(環境動物昆虫学)は「2007年から本州でも見られ始めた。当時、越冬北限の台湾でソテツの植栽が増えたのが原因らしい」と話す。
風まかせなので出現状況は年によって違うが、今年は多いらしい。千葉県農林総合研究センター暖地園芸研究所の河名利幸所長によると、千葉県南部のソテツ産地では09年以来11年ぶりに被害が報告された。梅雨の期間が長く、前線に向けて南からの風が吹き込み続けた影響なのかもしれない。
南方系のクロマダラソテツシジミが本州などに現れるようになったことを、地球温暖化の影響と見る向きもある。しかし、風に乗って大陸方面から日本に飛来し、越冬できずに死滅する昆虫としては、トビイロウンカやウスバキトンボなどの例が古くから知られており、まだ今の時点では結びつけにくい。ただ都市部での高温傾向が、国内でこの蝶の世代交代を促していることは考えられ、やがて国内で越冬する事態になる可能性は否定できないだろう。」
はたして、クロマダラソテツシジミは、栃木県でも繁殖をしているのでしょうか。
知り合いの昆虫の専門家Kさんに、この写真を送って見てもらいました。
「クロマダラソテツシジミのメスのようですね。
私はまだ見たことがありません。
2023年のインセクトに、栃木県初記録として小山市での報告があります。
報告にはその場所で発生した可能性があると指摘していました。
最近SNSで全国の話ですが目撃情報がいくつかあるのを見ました。
分散能力が結構あるみたいで、今後県内でも普通種になってしまうかもしれないですね。」
インセクトは「とちぎ昆虫愛好会」の機関誌です。1947年の発足以来、70年の長期にわたり、地域の自然の調査・研究、自然保護活動、観察会などを行っています。
「とちぎ昆虫愛好会」の機関誌に、2023年が栃木県初記録として報告されていることや、昆虫の専門家のKさんもまだ見たことがない、ということから、県内にはそれほど多くは生息していないのでしょう。
しかし、草野さんは、今年になって、すでに2,3回は目撃されている、ということから、すでに佐野周辺には定着している可能性もあります。今後、注視すべき蝶なのかもしれませんね。
草野さん、貴重な情報ありがとうございました。
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