「サンショウウオって何?」と素朴な疑問を持たれる方もいると思います。そこで、トウキョウサンショウウオに自己紹介してもらおうと思います。
自己紹介1「私は魚ではありません」
→田んぼにいるドジョウみたいな質感で、くねくねと泳いだりするので、魚みたいなもの、と考えられていたことに由来するようです。昆虫でもないのに小さな生物を「虫」と言ったりするのと似たようなものではないかと思います。「サンショウ」の由来は、植物の「山椒(さんしょう)」に因み、山椒の臭いがする、といった通説があります。しかし、「確かに山椒の臭いがする」と感じたことは、今まで一度もありません。‥謎です。
自己紹介2「私は両生類、有尾目、サンショウウオ科に属しています」
→両生類は、しっぽがあるかないかで、有尾目と無尾目に分かれます。無尾目はカエルの仲間で、有尾目はイモリやサンショウウオ(小型のサンショウウオ)、オオサンショウウオ等の仲間です。日本ではサンショウウオ科の分類の研究が進み、2022年11月6日現在(日本爬虫両棲類学会のHPより)、48種となりました。栃木県には、5種類のサンショウウオ科が分布しています。
自己紹介3「私は食用ではありません」
→サンショウウオと聞くと、「ああ、食べたことありますよ」という話題が良く出てきます。確かに、桧枝岐などの山間部で、サンショウウオの燻製を食べる食文化はありますが、それは「ハコネサンショウウオ」という渓流で生息している種に限られています。トウキョウサンショウウオを食用にする食文化はありません。
燻製にしたものを炙って食べたりしている。かつては、山間部の冬場の貴重なたんぱく源であったかもしれませんが、珍しいだけで、けっしてうまいものではない(と思いました)
自己紹介4「私が棲んでいるのは、山奥の渓流ではなく、里山です。」
→栃木県には5種類のサンショウウオが生息していますが、そのうち、ハコネサンショウウオ、クロサンショウウオ、トウホクサンショウウオの3種は山間部に生息しています。トウキョウサンショウウオの成体は、普段は人里に近い「里山」の地面の中などで暮らしており、山沿いの田んぼの水路や湿地などに産卵します。
産卵期になると、まずオスたちが産卵場に出現し、メスが周囲の里山から降りてくるのを今か今かと、待ち構えています。メスが1匹でも現れると、オスたちは興奮し、メスを取り囲み抱き抱え、産卵を促します。産卵された卵嚢にオスたちは放精し受精させます。
産まれたての卵嚢は、まだ水を吸収していないので、しわしわです。この時、この写真のように、青白い蛍光色を発しています。
産卵1日後(少しずつ、膨らんできます)
産卵3日後(水を吸って、パンパンに膨れています)このように、1匹のメスから、1対の卵嚢が生み出されます。
以上で、自己紹介(第1話)は終了です。
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