5月9日(火)、草野さんから、店先のミカンの木に集まる昆虫の写真が送られてきました。ミカンの花の蜜を吸うセイヨウミツバチ(左)と葉の上のベタリアテントウムシ(右)です。
ベタリアテントウムシは、もともと日本にはいませんでした。
1908年、果樹(主にミカン)を食害するイセリアカイガラムシが、カリフォルニア州からレモンの苗木に寄生して日本に持ち込まれ、被害が広がりました。そこで、イセリアカイガラムシを食べてくれる天敵として、1911年にベタリアテントウムシが初めて日本に移入されました。
その後も、ベタリアテントウムシは全国各地に無償で、増殖配付され続けました。ピーク時の1940年には24万頭が配付されましたが、2003年に農薬取締法の改正をもって、この事業は終了しました。
農薬が開発されていなかった時代に、移入されたベタリアテントウムシが、イセリアカイガラムシを食べてくれたおかげで、今、日本で普通にミカンが食べられるのかもしれません。
この写真のベタリアテントウムシは、おそらく、20年前までに増殖配付されたベタリアの子孫と考えられますが、今も、ミカンの害虫から守ってくれているのかもしれません。
写真(左)のセイヨウミツバチも移入種です。1本のミカンの木を舞台に、二つの移入種が共存し、人間生活を豊かにしてくれていることを考えると、かなり昔から、世界は一つに繋がっていることを感じます。
詳しくは、東京農業大学総合研究所 生物的防御部会 「天敵の話 第1回」をご覧ください。この記事を参考にして、上記の説明文を作成しました。
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