2025年3月1日(土)、佐野市犬伏上町の鷲宮神社(わしのみや・じんじゃ)の狛犬(こまいぬ)を訪ねました。佐野市内には江戸時代に奉納された狛犬が十対ありますが、その中で最も古いものが鷲宮神社の狛犬です。

佐野市郷土博物館館長の山口明良さんは、栃木県内の狛犬について研究されています。先日、郷土博物館でお話を伺ってきました。令和3年7月に発刊された安蘇史談会の会報『史談』第37号で、山口さんの論文「江戸時代に奉納された佐野の狛犬」が掲載されています。
それによると、佐野市犬伏上町の鷲宮神社の狛犬には「元禄十六癸未年(1703年)十一月吉日」の文字が刻まれています。今から320年ほど前の江戸時代(元禄時代)に奉納されました。江戸幕府の第5代将軍、徳川綱吉の時代です。
向かって右側が口を開けた阿形(あぎょう)、左側が口を閉じた吽形(うぎょう)となっています。残念なことに阿吽共に前足が欠損しています。

佐野で最古の狛犬ですが、一対の狛犬が守ってきた社は、今や朽ち果てていました。

立派な鳥居がありますので、かつては賑わいをみせた神社であったと思われます。

長い参道の先には、崩れかけた石段があり、そこを登ると、鷲宮神社の本殿があります。

実は、正面の本殿の右側に、先ほどの朽ち果てた社と佐野で最古の狛犬が存在しています。

この1対の狛犬も江戸時代(1839年)に設置されています。初めに紹介した狛犬からさらに130年以上の時が経っています。

鷲宮神社には、江戸時代に設置された狛犬が2対存在する、という珍しいケースだそうです。
狛犬というと、神社の脇役的な存在と思われがちですが、実は地元の石工が腕を振るった作品でもあり、独特の存在感を示しています。奥深い世界が広がっています。
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