6月1日(木)、佐野高校の中條教頭先生から、職員室の網戸に張り付く「ニホンヤモリ」の写真が送られてきました。校内には「ニホンヤモリ」が生息しています。
素晴らしいアングルの写真ですね。どうやって撮ったのでしょうか。
こちらは、背側正面からのショットです。
ところで、このニホンヤモリについては、2022年12月1日付けで東北大学から、「ニホンヤモリは外来種だった! 遺伝子と古文書で解明したヤモリと人の三千年史」というプレスリリースが出ています。以下の図は、プレスリリース資料から引用しました。
それによると、ニホンヤモリは約3000年前に中国から九州に渡来し、平安時代末までには近畿へ、江戸時代後期~明治初期に関東へと分布が広がりました。
このことは、古文献に基づく歴史的な分布とも整合するそうです。
関東にまで分布が広がったのは、220から100年前くらいに遡れるそうです。
佐野高校は創立以来123年が経過していますが、創立当時の佐野高校にはまだ「ニホンヤモリ」は生息していなかった可能性もあります。
人の移動や歴史的な輸送ネットワークによって、ニホンヤモリが分布を拡大したと考察しています。
この研究は、古文書の網羅的調査、遺伝子レベルの変異分析、人間社会の発展と絡めた考察という文理融合的なアプローチによって、ニホンヤモリが辿った歴史を推定しました。
非常に興味深い研究です。ニホンヤモリについては、これまで外来種ということが、なかば定説となっていて、栃木県のレッドデータブックにも掲載されていませんでした。
しかし、外来種であるとするエビデンスが明確ではなく、長くもやもやした気持ちでいました。今回の論文で、歴史的な背景が明確になり、非常にすっきりとしました。
興味のある方は、かなり詳しいプレスリリースですので、読んでみてください。
【論文題目】
題目:The mutual history of Schlegel’s Japanese gecko (Reptilia Squamata
Gekkonidae) and humans inscribed in genes and ancient literature
著者:Minoru Chiba, Takahiro Hirano, Daishi Yamazaki, Bin Ye, Shun Ito,
Osamu Kagawa, Komei Endo, Shu Nishida, Seiji Hara , Kenichiro Aratake ,
& Satoshi Chiba
筆頭著者情報:(氏名、所属):千葉 稔(東北大学大学院生命科学研究科)
雑誌:PNAS Nexus
Volume Page Volume 1, Issue 5
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