8月21日(月)、同じ職場のSさんから、フクロウの仲間の写真が送られてきました。
日本野鳥の会の方に写真を送って見てもらうと、羽の模様からすると、たぶん「トラフズク」だと思います、ということでした。「トラフズク」は、栃木県のレッドリストで絶滅危惧Ⅰ類(Aランク)に指定されている希少種です。
Sさんによると、夜、車のヘッドライトの明かりに浮かび上がったそうです。ちょうど、鳥を捕まえたところらしく、脚で獲物を抑え込んでいたため、逃げるに逃げられない状況だったのかもしれません。すかさず、写真を撮ったそうです。
頭部に耳のように見える「羽角(うかく)」がはっきり見えます。これは、ミミズクの仲間の特徴です。関東で見られる野生のミミズクの仲間は、トラフズク、アオバズク、コミミズク、オオコノハズクに絞られますが、大きさ(40cm程度)、羽角の長さ、体の模様(トラもよう)などから、「トラフズク」の可能性が高いと考えられます。トラのような模様(斑フ)があるので、トラフズクという名前がつきました。漢字では「虎斑木菟」と書きます。なお、木菟(ずく)は、木にいる耳の長い兎、ということに由来しています。
ところで、上の写真では、頭部が180度回転しています。つまり、頭部だけ真後ろを向いています。人間だと、ホラー映画に出てきそうなシーンです。下の2枚の写真は、頭部が元の位置(前向き)に戻っていく様子を捉えています。Sさんの冷静な観察のおかげです。
さて、トラフズクは、栃木県のレッドリストで、絶滅危惧Ⅰ類(Aランク)という最高ランクに選定されています。おそらく、現在、県内では数か所でしか生息を確認されていません。選定理由として、「既知のすべての個体群で、危機的水準にまで減少している。」ことが、以下に示されています。
(栃木県「2018レッドデータとちぎ」p480より引用)
トラフズクは、林の周辺部、つまり開けた場所に近接している部分を生息地にしています。例えば、公園内の林、小面積の植林地などを住みかとしているそうです。
Sさんが出会ったトラフズクが、どこでどのように暮らしているのかはわかりません。しかし、トラフズクと目と目が合い、お互いの緊張を肌で感じることができた貴重な体験だったと思います。またどこかで出会ったら、情報を寄せてください。
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