6月17日(土)、星野先生ご夫妻から、「10年以上前からあるヤマモモの木が初めての大豊作です。お近くにお越しの際は是非ご覧ください。」というメールをいただきました。
その日の14時過ぎに、ご自宅に伺いました。
果実の桃というよりも、サクランボのような小さな赤い実です。表面はでこぼこしていて、桑の実のようなイメージもあります。ヤマモモは温暖な気候を好むため、日本では西日本から沖縄の暖かな地域で育つそうです。
まずは、そのまま食べてみました。めちゃくちゃうまい、これはやみつきになる、というほどではありませんでしたが、甘酸っぱくて素朴な味がしました。星野先生からは、ジュースにしたものをいただきましたが、こちらはカフェで出してもおかしくない、上品な味わいでした。ごちそうさまでした。
ところで、ヤマモモは日本に古くから自生しており、楊梅(ヨウバイ)とも言われていたそうです。「枕草子」にも「楊梅」の記述があるということなので、調べてみました。
枕草子 第百四十七段 「見るにことなることなきものの」
見るにことなることなきものの、文字に書きてことごとしきもの。
覆盆子。鴨頭草。水茨。
蜘蛛。胡桃。文章博士。得業生。
皇太后宮権大夫。楊梅。
いたどりはまいて。「虎の杖」と書きたるとか。杖なくとも、ありぬべき顔つきを。
(現代語訳)
見た目には大したことはないが、文字に書くと大げさな感じのするもの。
いちご。つゆくさ。みづふぶき。
くも。くるみ。もんじゃうはかせ(大学寮に属する詩文、紀伝の教授。定員一名)。
とくごふのしゃう(大学寮の修了者から選ばれる研究生。定員二名)。
くわうたいごうぐうのごんのだいぶ(特に字面が長く大げさ)。やまもも。
いたどりは特に大げさです。「虎の杖」と書くとか。虎は杖などなくても、平気な顔をしていますよ。
(以上は、『枕草子』清少納言さまからの贈り物 雅工房作品集より引用しました)
清少納言は「楊梅」という言葉からイメージするものと、実物とのギャップを面白がっています。この段は、現代でも通用するギャグのセンスに溢れていると思います。
イギリスで大ブレークした「とにかく明るい安村」の「履いてますよ」のギャグは、もし清少納言が現代で見たら、大受けしたと思います。
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