8月21日(月)、同じ職場のSさんから「コカブトムシ」の写真をいただきました。8月10日の夜8時頃、お子さんたちと「桐生市の市民広場」に、クワガタやカブトムシを採りに行った際、1匹だけ木にとまっていたそうです。
一見すると、カブトムシの雌やコガネムシのようにも見えます。しかし、よく見ると頭部には「小さなツノ」が生えています。さらに、胸部に「くぼみ」があります。
「これは普通のカブトムシではない」と直感したSさんのお子さんがネットで調べたところ、「コカブトムシ」であることが分かりました。また、地域によっては、絶滅危惧種に指定されているところもあったそうです。素晴らしい行動力ですね。また、この個体は胸部の「くぼみ」が丸く大きいことから、オスであることもわかりました。
実は、私もこのようなカブトムシ?が存在することは知りませんでした。
調べてみると、良く知っているカブトムシは、コウチュウ目→コガネムシ科→カブトムシ亜科の中の「カブトムシ属」に分類されています。一方、コカブトムシは、カブトムシ亜科までは同じですが、「コカブト属」に分類されます。
だとすると、コカブトムシは、カブトムシの仲間ではない?
確かに、「カブトムシ属」こそ「真正のカブトムシ」といえますが、「カブトムシ亜科」に入って入れれば「広義のカブトムシ」といえるそうです。また、コカブト属に分類されるので、種名も「コカブト」と呼ぶこともあるそうです。
カブトムシとコカブトムシ(コカブト)の大きな違いは、形態的な特徴以外に「食性」があります。カブトムシは樹液を食べるのに対し、コカブトムシ(コカブト)は、肉食性で、ミミズや芋虫など、柔らかい生き物を好みます。Sさんのお子さんは、「昆虫ゼリー」を食べることも観察したそうです。
ところで、コカブトムシ(コカブト)は、カブトムシのようには見つからないことから、生息密度は低いと考えられますが、どの程度なのでしょうか。昆虫に詳しい何人かに聞いてみました。
常連の草野さん
「今年の6月28日にみかも山で初めて捕獲しました。佐野市にもいたのですね。」
↑草野さんから送られてきた写真です。
昆虫が専門のKさん
「確かに見かける頻度は高くはないですが、時々見かけるので、すごく珍しくはないと思います。最近だと宇都宮で確認しました。肉食ですので飼育する際には要注意ですね。以前、知り合いが一緒に飼っていたオオクワガタが食べられてしまい、落ち込んでいました。」
栃木県立博物館の昆虫担当
「雑木林などに見られますが、個体数はもともと多くありません。高所にはいませんが、平野部や丘陵部には広く生息しています。」
コカブトムシは、カブトムシに比べると、生息密度や知名度は圧倒的に小さいので、飼育して生態を観察すると、素晴らしい理科研究になるのではないでしょうか。Sさんのお子さんからの続報を期待しています。
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