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​身近な風景

執筆者の写真tokyosalamander

葛生化石館「ペルム紀という時代」

更新日:2023年9月10日

9月9日(土)、佐野市葛生化石館企画展「ペルム紀という時代」を見学しました。学芸員の奥村よほ子さんが、解説をしてくださいました。


ペルム紀は「史上最大の大量絶滅*」があった古生代最後の時代です。

続く中生代は恐竜の時代として有名ですが、その前のペルム紀はあまり知られていません。私たちほ乳類の祖先を含む(爬虫類の)「単弓類(たんきゅうるい)」が生息し、多くの生き物が繁栄した時代「恐竜が登場する直前の、”忘れられた” 時代の物語」を紹介します。(以上、葛生化石館のHPより)


*海生生物の最大96%、すべての生物種で見ても90%から95%が絶滅したとされています。


ここからは、奥村学芸員のオンライン解説で紹介します。


Scene 1

「今回の「ペルム紀という時代」ですが、実は佐野市の石灰岩の時代が古生代ペルム紀なんです。その古生代ペルム紀の生き物、意外と皆さん知らないと思います。

そこをぜひ知ってもらいたいと思い、今回の企画展「ペルム紀という時代」を企画しました。」

常設展示より


Scene 2

「こちらのディメトロドン、ペルム紀の前半期に繁栄した(爬虫類の)単弓類の仲間です。大きな帆を持つ形から帆竜と呼ばれ、よく恐竜と間違われているんですが、実は(恐竜ではく)単弓類の仲間です。」



Scene 3

「(爬虫類の)単弓類という生き物は、どのような生き物かというと、一番の特徴は頭骨に現れています。眼の穴の後ろの穴、それが一つのものが単弓類と分類されています。ちなみに二つ穴があるものは、双弓類と呼ばれ、トカゲや恐竜、鳥類の大きなグループとなっています。」



Scene 4

「古生代ペルム紀の植物は、こちらに標本が展示してあります。当時はシダの仲間や裸子植物の、どちらかというと古い方の種類がたくさん繁栄していました。当時はまだ(地球は)乾燥していたと考えられています。この後の中生代に被子植物が出現し、繁栄していくことになります。」

ペルム紀の森林には、メガネウラ巨大な昆虫)なども生息していました。

このような独特の頭部をもつディプロカウルスなどの両生類も水辺で生息していました。


Scene 5

「植物が繁栄していたペルム紀ですが、当然、それを食べる植物食動物が繁栄していました。こちらのコティロリンクスやエンナトサウルスは、植物を食べていた植物食動物の仲間です。歯を見ると櫛形(くしがた)の歯をしていて、それで葉を鍬(すき)とって食べていたようです。一方、先ほど紹介したディメトロドンは、鋭い牙を持っています。当然、肉食だったと考えられています。」



Scene 6

「古生代ペルム紀の海の中では、サメの仲間が繁栄していました。こちら、歯の化石がたくさん出ていますが、非常に小さなものから大きなものまで、化石として見つかっています。

特に、このヘリコプリオンというサメの仲間は、体長5mから8mに達したのではないかと言われている大型のサメの仲間です。」

ヘリコプリオン(サメ)の歯

ペルム紀の海には、このような小さな魚類も生息しており、サメのエサとなっていたと考えられています。


Scene 7

「古生代後半期に入りますと、気候が温暖化していきました。それに適応した、こちらのような単弓類が繁栄していきます。こちらの標本は、ゴルゴノプス類といいまして、比較的すばやく動くことができる単弓類の仲間でした。」

ゴルゴノプス類の化石


Scene 8

「先ほど紹介したゴルゴノプス類は肉食類ですが、当時、こういった植物食の単弓類も繫栄していました。ディキノドンという仲間で、大きな2つの犬歯を持っているのが特徴です。大きさが違うくらいの違いで、いろいろな種類がいたわけですが、実はこのディキノドン、植物の木の根や幹、かたい部分まで食べて、「食べ分け」をして生き延びていたのではないかと考えられています。」

ディキノドンの犬歯がよくわかります。


Scene 9

「こちらの(単弓類の)イノストランケヴィアといいます。こちらの標本は1頭分の骨格標本です。1頭分まるまるというのは、日本でもおそらく、ここ葛生化石館だけの標本、自慢の標本の一つです。」


Scene 10

「ペルム紀に繁栄した単弓類たち、実はペルム紀の終わりに「大絶滅」というイベントがありました。詳しい原因はわかっていないんですが、当時、(火山の)大噴火が起きたという記録があり、ロシアに広大な玄武岩の溶岩が残されています。それを考えますと、大量の火山灰、火山ガスなどが噴出し、環境の変化が起こったと考えられているんです。


おそらく、まずは寒冷化が起き、その後、火山ガス、二酸化炭素による急激な温暖化が起きました。非常に変化の激しい、過酷な時期だったと考えられています。ここまで生きていた単弓類ですが、その大きな環境の変化に、ほとんどがついていけず、大量の種類が死んでしまったと考えられています。


ですが、ほそぼそと生き残った単弓類の仲間のうち、キノドンの仲間、そういったものが命をつなぎ、次の中生代を生き延びていきます。そして、その後、私たち哺乳類につながっていくと考えられています。

キノドンの仲間


いかがでしたでしょうか。葛生化石館及び奥村よほ子学芸員の全面的な協力のもと、「ペルム紀という時代」のオンライン解説を試みました。


奥村さんの解説は、すべて即興の一発撮りでしたが、とても親しみやすく、わかりやすかったと思います。7月にNHKで放送された「ブラタモリ」(佐野市)での名解説を彷彿とさせました。奥村さんには、改めて感謝いたします。ありがとうございました。


これを見て、「ペルム紀」そして「葛生化石館」に興味を持った方は、ぜひ葛生化石館に足を運んで、実物を味わってみてください。常設展示も充実しています。


それではまた



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