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​身近な風景

蛇にまつわる人々⑧

執筆者の写真: tokyosalamandertokyosalamander

更新日:2月17日

2025年2月15日(土)13:30~、昨年12月7日に小学館から発行された「ヘビ学」の著者4名による「ヘビ学」発売記念座談会(トークイベント)とサイン会が、ジャパン・スネークセンター研修室で行われました。

著者4名にサインしてもらった「ヘビ学」(小学館新書)の表紙


(↑左から、境さん、吉村さん、森口さん、高木さん、4名の著者たち)

会場には40名以上の読者(ファン)が集まり、熱気に包まれていました。全員が「ヘビ学」を手元で広げており、まるで「ヘビ学」の講義が始まるかのような雰囲気でした。


この本は4名の共著ですが、誰がどの部分を執筆されているのかは、明らかにされていません。以下は、本書の発行元である小学館の書籍案内で紹介されている<目次を見る>からの引用です。


〈巻頭カラー口絵〉

ジャパン・スネークセンターで飼われている世界と日本の美しいヘビ


〈序章〉

奥深きヘビの世界へようこそ

本書に登場するヘビ


〈第一章 不思議が詰まった生き物〉

・ヘビとトカゲは何が違うのか?

・頭、胴体、尻尾の区別は?

・冬眠するヘビ、冬眠できないヘビ

・なぜ「ウネウネ」「とぐろ」なのか──ほか


〈第二章 ヘビ毒の怖~い話〉

・毒ヘビ110番を開設

・ライオンも命を落とす「出血毒」の恐怖

・日本に生息する「最も危険な毒ヘビ」は?

・1日あたりの死者は全世界で300人──ほか


〈第三章 それでもやっぱりヘビが好き〉

・ヘビの飼育はトラブルと隣り合わせ

・毒ヘビ51匹の違法飼育事件

・衣装ケースで飼われていたブラックマンバ

・スネークセンター的「ニュース集」──ほか


〈第四章 だから人間はヘビに魅入られる〉

・ヘビを嫌うのは「ヒトの本能」?

・なぜヘビは「禁断の果実」をイブに勧めたのか

・メデューサの髪の毛は「何ヘビ」だったのか

・WHOのマークに描かれる理由──ほか


〈あとがき〉


著者の一人である高木優さんの軽妙な司会で、トークセッションが始まりました。

開口一番、「皆さんは、この『ヘビ学』のことを知ってますか? 知らないと、今日の座談会についてこれないかもしれませんよ」と軽いジョークで会場を盛り上げました。


そして、誰もが知りたがっている「誰がどの部分を執筆されたのか」という本題にいきなり切り込みました。高木さん、さすがです。


それを受けて、4人の著者から、ご自身が執筆された内容やそれにまつわる裏話などが披露されました。それによると、誰かが単独で一つの章を担当したというわけでなく、よりわかりやすくするために、小学館の編集者によって、モザイク状に再構成されたり、大胆にカットされたりしたことがわかってきました。


高木優(たかき・ゆう)さん→スネークセンターでは、ヘビの飼育や繁殖を担当されていますが、それらに関する内容の記述は、ばっさりカットされてしまったそうです。主に「序章」や「おわりに」などを執筆されています。高木さんは、爬虫類全般に関する世間への正しい知識の普及を生涯目標に掲げており、「さかなクン」のような存在を目指しているそうです。


境淳(さかい・あつし)さん→スネークセンター60年の歴史や九州以北の毒ヘビ(マムシ、ヤマカガシ)のヘビ毒や咬傷被害などについて、第二章、第三章などで執筆されています。また、高木さんのお話によると、巻頭カラーページのトップに、毒蛇を掴んでいる堺さんがバーンと登場する案もあったそうですが、ボツになってしまったそうです。堺さんについては、本ブログ「蛇にまつわる人々②」でも紹介しています。


吉村憲(よしむら・けん)さん→前職は看護師。JICAのボランティアとしてバングラディシュで活動した際、ヘビ咬傷の被害を知ったことがきっかけで、長崎大学で熱帯医学・公衆衛生学を学び、その後、蛇研(スネークセンター)で毒ヘビ咬傷、ヘビ毒について学んでいます。こうした経歴から、第二章、第三章で、南方のハブなどの毒ヘビ、海外での咬傷被害の状況などについて執筆されています。また、第四章ではヘビに関わる神話や伝説などについても担当されたそうです。


森口一(もりぐち・はじめ)さん→「スネークセンターの人たちは皆ヘビ好きだと思われているかもしれません。私はヘビにものすごく興味・関心を持っていますが、そこに愛はあるか、と聞かれると、なくはない、と答えることにしています。」というフレーズで読者(ファン)の心を鷲づかみしました。森口さんは、フィールドワークとしてのヘビの生態調査などがご専門ということで、第一章(半分くらい)、第三章(少々)、第四章(半分くらい)を執筆されたそうです。また、ツチノコにまつわる動物学的な話が、編集で全カットされたのを残念がっていらっしゃいました。


司会の高木さんによると、当初は10万字のボリュームでしたが、巻頭カラー口絵(8ページの豪華版)を充実させたため、最終的に7万字に精選されたそうです。そのため、ツチノコの話、シロヘビ、好きな毒ヘビランキング、漫画での好きな言葉など、著者たちの思い入れが詰まった興味深いお話の数々がボツになってしまったというお話もありました。しかし、「ヘビ学」はそうした編集のお陰も相まって、ヘビ初心者にもわかりやすい、魅力的な本として、大変な反響があるそうです。著者の皆さんの「出してよかった」という、心からの気持ちも伝わってきました。私もこの本は、名著だと思っています。


泣く泣く埋もれてしまったお話が、「ヘビ学」の第2弾?で紹介できれば、という期待を込めたお話で40分間の座談会は締めくくられました。その後、サイン会と質問コーナーがあり、著者の前には、文字通り「長蛇の列」ができていました。私も約30分待って、サインをしていただきました。


著者の4名は、ヘビに対して、それぞれ異なる興味関心を持ち、異なるアプローチをされていました。しかし、それらが一つのチームとして、「ジャパン・スネークセンター」の存在意義や魅力を高めていることを感じました。


今後、本ブログ「蛇にまつわる人々」シリーズの一環として、境さんに続き、他の3名の方々についても、それぞれ、順次紹介させていただければと考えています。吉村さん、森口さん、高木さん、その時はよろしくお願いいたします。




 
 
 

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