9月5日(火)、赤城山のふもとに広がる赤城公園(群馬県前橋市)の「覚満淵(かくまんぶち)」から、写真が届きました。ここでは、群馬県内の多くの中学校が「日帰り林間学校」を実施しています。
伸びやかな裾野を持つ赤城山(あかぎやま、標高1828メートル)は、群馬県の象徴ともいえる名山です。
赤城山は、深い森と大小の湖沼、湿原を抱え、そこには多様な動植物が生息しています。かつての古大沼湖の一部が湿原化した「覚満淵」(かくまんぶち)は、上の写真のように、木道が整備されており、「ミニ尾瀬」とも称される静かな雰囲気があります。
季節には、モウセンゴケ、ミズバショウ、ニッコウキスゲなどの花を楽しめるほか、チョウや野鳥の観察も人気だそうです。
さっそく、モウセンゴケ(食虫植物)の写真が送られてきました。
このチョウは、ヒョウモンチョウの仲間です。
学校によっては、覚満淵の水中のプランクトンを顕微鏡を使って観察しています。
単なる自然観察だけでなく、探究学習を取り入れています。
覚満淵は、かつては7月中旬から、一面のニッコウキスゲの群落が確認されていました。
しかし、1998年頃から、次第に開花株数が減少し、一時は開花が見られなくなってきていました。2006年に群馬県が行った調査では、その原因はミヤコザサの侵入等による遷移が原因であると結論付けました。そのため、ササやススキなどを刈り取るための「ササ刈り」も実施されたそうです。
今日も、林床にはササが一面を覆っていました。
ロープが張られていますが、何らかの調査が行われている可能性があります。
さらに、シカが増えたことで、樹木の樹皮が食べられてしまい、やがて枯れてしまうことから、希少な植物が生える環境が失われています。群馬県では、保護対策として、基本植生となっている広葉樹の樹幹へのネット巻を行いました。(現在も行われているかどうかは不明です)
実は、シカの増加は、ここだけの話ではなく、日本中で問題になっています。生態系や農作物に及ぼす影響も問題視されています。
ここ覚満淵でも、至る所に、シカの糞が落ちていることから、現在も相当数のシカが生息していることが想定されます。
このように、自然環境を保全するために、いろいろな取り組みが行われていること、それなしには、この自然環境を後世に残していくことができないことを学ぶことも大切だと思います。
中学生にとって、好天の下、気持ちよく自然観察ができたことは、貴重な体験であると同時に、将来に向けた「自然環境保全の出発点」になったと思います。
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