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​身近な風景

執筆者の写真tokyosalamander

龍にまつわる神社⑭

2024年6月29日(土)、埼玉県坂戸市にある日本最大の道教のお宮「聖天宮」(せいてんきゅう)を参拝しました。「五千頭の龍が昇る聖天宮」がキャッチフレーズです。

聖天宮は、中国台湾三大宗教(道教、儒教、仏教)の一つ「道教」のお宮です。日本の神社とは異なり「お宮」(おみや)と呼ばれています。駐車場から見ると、この一角だけ、まさに異空間でした。

この建物が、天宮への門である「天門」です。天門から中に入ると見えてくるのが「前殿」です。

前殿」の正面には、九頭の龍が一柱の岩から透かし彫りされた「九龍柱」(高さ5m)や、一枚の板から彫られた扉(高さ4m)があります。

中では、おみくじが売られています。

「前殿」を出て、中庭を歩いていくと「本殿」にたどり着きます。

本殿の前には、一枚の岩から彫られた「九龍網」(きゅうりゅうもう)が鎮座しています。

いよいよ本殿の中に入って行きます。

道教は日々の道徳を重んじ、善行に報いる最高神「三清道祖」が祀られています。

正面奥に祀られているのが人間界の運勢を司る道教最高位の三神(左から「霊寶天尊(れいほうてんそん)」「元始天尊(げんしてんそん)」「道徳天尊(どうとくてんそん)」)です。

道教は、中国大陸で発祥した太古の民間信仰です。神話の神々を起源とし、様々な神様が存在する多神教です。そのため、道教最高位の三神が崇拝の対象となることは少なく、道を知ることこそが三神の教えだとされているそうです。


三神の真上にあるのが「太極天井(たいきょくてんじょう)」です。すべての始まり、宇宙の始まりをも表しています。渦を巻き、陰と陽に分かれます。道教の世界観は「道(たお)」に従い生きるTaoismタオイズムとして、東洋のみならず、西洋でも根強い関心を集めています。平安時代には「陰陽道(おんみょうどう)」「風水」などにも取り入れられたそうです。


(以上、配布されたリーフレットに書かれた内容を参考にして、簡単に紹介しました)

ところで、この壮大・壮麗な「聖天宮」は、いつ誰によって建てられたのでしょうか?

配布されたリーフレットに「由来」(聖天宮の不思議な秘話がここに)が書かれていましたので、紹介します。


「聖天宮の建て主は康國典大法師。四十歳半ばにして不治の大病を患い、ご本尊「三清道祖」と縁起をもたれたのを期に、一命をとりとめ完治されました。深謝の念と、何人にも神様のご利益にあやかれるお宮を建てたく建造の地を探していたところ、なんと生国の台湾ではなく日本国のこの地にとお告げを授かりました。雑木林のこの地を一から整地し、昭和56年より着工に至りました。台湾の一流の宮大工を呼び寄せ、十五年を掛け、平成7年に聖天宮を開廟しました。」


壁に飾ってあった御写真が開祖された康國典大法師ご夫妻かと思われます。

なお、「客庁」(祈祷待合室)には、台湾の飲み物やお菓子の自動販売機がありました。


台湾での人気商品が売られています。

さすがに「コーラ」なら当たりはずれは少ないだろうと思い、台湾コーラを買ってみました。(220円)

しかし飲んでみると、良く知っている「コーラ」とは似て非なるものでした。サルサパリラというハーブエキスが入っているそうですが、味は、まるで、肩こりに効くバンテリンにようなメントール感が強烈でした。サルサパリラは古くから生薬や漢方薬に用いられ、関節痛、皮膚の痒みなどを軽減し、細菌を殺す作用があると考えられています。確かに凄そうですが、残念ながら「台湾マニア」にはなれないと思い知らされました。


この聖天宮の周囲は、まさに「リトル台湾」という感じでした。

トイレの男女の表記も独特です。

「異国情緒」満載です。聖天宮の建物は、とにかく青空に映えています。

こうして「聖天宮」を後にしました。「五千頭の龍が昇る聖天宮」というキャッチフレーズに嘘はありませんでした。


こんな凄い日本最大の道教の「お宮」があることと、それを日本で作ってしまった台湾人がいたことにびっくりしました。その相乗効果で、半端ないご利益があることを期待したいところです。願いはお線香の煙に託すと天に伝わるそうです。


一方で、道教の世界観である「道(たお)」に従い生きるTaoismタオイズムは、他力本願ではなく、各自で道を究めよ、という考えですので、とりあえず、神様に願いを伝え、後は自分で努力せよ、という冷めた感じもしました。そうした独自性が宗教や文化の違いであり、神社ではなくお宮である、ということにも表れていると思いました。


<聖天宮のリーフレット>

これを読むだけでも勉強になりました。




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