top of page
IMG_4274.JPEG

​身近な風景

『Beautiful Words』No.16

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 9月28日
  • 読了時間: 4分

2025年9月20日(土)、佐野高校で恒例の「SG教養講座」が開催されました。今回は佐野高校・同附属中の卒業生が初めて登場しました。その一人である草野新(くさの あらた)さんが、講演後、生徒だった頃を振り返った時に発した言葉を紹介します。

ree

二人の草野新さん。

(左)小学5年生(11歳)

(右)社会人3年目(25歳)


ree

「持続可能な漁業を考える」と題する講演(90分)が行われました。


草野新さんは、現在、「ニチモウ株式会社」海洋事業本部 研究開発室の『研究開発チーム』に所属しています。生分解性プラスチックによる漁業資材等、地球に優しい資材の開発を進めています。


ree
ree

草野新さんは、今から12年前に佐野高校附属中に入学しました。中学高校とサッカーを続けてきましたが、一貫して生き物への興味がありました。


高校3年生の時、図書館で読んだ「ナショナルジオグラフィック」(2018年6月号)の特集「海を脅かすプラスチック」で紹介されていたウミガメの写真に衝撃を受けたそうです。プラスティック片を飲み込んだり、漁網に絡まったりして命を落とす動物たちを何とかしたいという気持ちが芽生えました。2018年6月号カバーギャラリー page2


これを一つの契機として、海の生物を守るために海洋環境問題に取り組みたいと決意し、高知大学海洋科学部に進学しました。大学でも海洋プラスチックの問題について研究し、「河口域に存在するカニのマイクロプラスチック摂食リスク」に関する卒業研究を行いました。そうした縁で「ニチモウ株式会社」に就職することとなりました。高校生の時に抱いた思いが、真っすぐに現在の仕事に繋がっていることを感じました。


ree

実は、草野新さんとは、附属中入学以前から、生き物好きのお父さん(常連の草野さん)を通して出会っていました。2012年1月4日、新さんはお父さんと、佐野高校生物部(現在は科学部)のイシガメ調査(イシガメプロジェクト2012)に参加しました。

ree

当時、栃木県にはイシガメの生息は確認されていませんでしたが、草野さんのお父さんが、たまたま足利の名草川上流でイシガメを捕獲したことから、そこで繁殖しているかどうかを探索するプロジェクトが始まりました。

ree

その後、名草川では多数のイシガメが捕獲され、そこで繁殖が行われていることも明らかになりました。しかし、捕獲したイシガメのDNA調査により、他の生息地のイシガメが名草川に放流され、そこで繁殖していたことが判明しました。一時、栃木県のレッドリスト掲載を巡って大きなトピックとなりましたが、結局「幻のイシガメ」となってしまいました。

ree

(佐野高校生物部の部員とともに調査に参加していた草野新さん)


「SG教養講座」終了後の9月22日(月)、新さんから声がかかり、お父さんのお店(PIONE)でお話をする機会がありました。その中で、小学生の頃からお父さんとカメ調査等に参加していたことが、今の新さんにとって、どんな影響があったのかを聞いてみました。

ree

新さんは、小さいころから生き物好きで、いろいろな動物を趣味で飼っていたそうです。

「イシガメプロジェクト2012」に参加し、その生物がどういう生活をしているのか、そこで何をしているのかを考えることで、調べてみたくなったそうです、単なる趣味から調べるへと興味が広がったことを振り返って話してくれました。その時に、新君が発した言葉が、今回の『Beautiful Words』です。


生物について知ることで、趣味から調べるへと発展し、研究に興味を持ちました。


小学生の頃のカメ調査の体験が、今の新さんにとって決して無駄ではなかったことを知り、嬉しく思いました。


最後に、10年後の新さんが、どんなことをしていると思うか聞いてみました。

「漁業の方法自体が今とは変わってくると思います。例えば、1つの漁船でいろいろなことができるようになったり、生分解性の漁具がもっと普及していたりすると思います。後継者不足の中で、おいしいものをどうやって消費者に届けるか、魚の価値(魚価)を高めることが重要になってくると思います。そのような世界にするために、自分ができる地道なことを続けていると思います。」どこまでも真っすぐな新さんでした。


また、今回の「SG教養講座」を聞いてくれた生徒さんに、こんな心配もしていました。

「海に捨てられた漁具によって、多くの動物たちが『ゴーストフィッシング』で命を落としていることは事実です。しかし、漁業そのものが悪であると誤解しないでほしい。」

ree
ree

新さんの話を聞いて、そんなことを思う人は誰もいない、と私は心から思いました。

コメント


身近な風景

©2023 身近な風景。Wix.com で作成されました。

bottom of page