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​身近な風景

「襟裳岬」の風景

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 6月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月1日

2025年6月27日(金)、現在、北海道の足寄(あしょろ)町で研修医として勤務している新井さん(佐野高校科学部OB)から、近況を知らせるメールが届きました。今回は、6月中旬に訪れた、北海道の南東端にある襟裳(えりも)岬の風景の紹介です。

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足寄町は十勝の東北部に位置しています。新井さんは、足寄町から太平洋に面している襟裳岬に向かいました。

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(写真1)襟裳岬へ続く道「黄金道路」。この時点ではまだ晴れていました。


「黄金道路」とは珍しいネーミングですが、トンネルと海岸の埋め立て、崖を削るなどの難工事のため、着工から7年後の昭和9年(1934年)にようやく日高と十勝を結ぶ海岸ルートが開通しました。竣工当時の名前は日勝海岸道路でしたが、「まるで黄金を敷き詰められるほど、建設に莫大な費用が掛かった道路だ」として黄金道路と呼ばれるようになったそうです。



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(写真2)襟裳岬駐車場です。霧が立ち込めています。


「北海道の背骨」とも呼ばれる日高山脈が、そのまま太平洋へと沈み込み、岩礁となって姿を現すこの場所。沖合では暖流と寒流がぶつかり合い、年間の3分の1が霧に覆われるという、日本有数の霧の名所でもあります。私が訪れた日も、辺り一面が霧に包まれ、海の景色はほとんど見ることができませんでした。



一方で、襟裳岬周辺には、立ち木が一本もない広大な草原が、風に揺れながら広がっていました。

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(写真3)岬先端へと続く道。野に咲くのはエゾカンゾウ。


本来この緯度の北海道では、シラカバやミズナラなどの広葉樹の森が見られるはずです。しかしここでは、森がまったく姿を見せません。


その理由は、「」にあります。

襟裳岬は、年間260日以上にわたり、風速10m/s以上の強風が吹きつける、日本有数の風の強い場所です。この風が、木の芽を吹き飛ばし、枝を折り、根を乾燥させてしまう。木が育つ前に、風がそれを許さないのです。風が強くて木すらも生育しにくい環境では、草原しかできません。このような草原を風衝草原と呼んでいます。


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(写真4)ハマエンドウとハマナス。地を這うように力強く生きています。


ところで、森進一のヒット曲「襟裳岬」を知ってますか?


「北の街ではもう 悲しみを暖炉で

燃やしはじめてるらしい

理由(わけ)のわからないことで 悩んでいるうち

老いぼれてしまうから

黙りとおした 歳月(としつき)を

ひろい集めて 暖めあおう

襟裳の春は 何もない春です



「何もない」と形容されがちな襟裳岬。しかし、一面の霧と強風の中で草原を見渡していると、「風が景色をつくる」とはこういうことかと実感します。そして、「何もない」からこそ感じられる、自然のたくましさと雄大さが、深く心に残りました。

 

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(写真5)岬付近の岩礁。アザラシはいませんでした。手前の砂利は昆布干場です。


現在の岬の様子はこちらから確認できます↓

海上保安庁ライブカメラ「襟裳岬灯台」:https://camera.mics.kaiho.mlit.go.jp/camstream/erimomisaki_lt/

 

新井さん、襟裳岬からのレポートありがとうございます。また、北海道の風景を送ってください。楽しみにしています。

 
 
 

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