とちぎカエル探検隊の20年
- tokyosalamander
- 7月29日
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更新日:8月15日
2025年7月27日(日)、栃木両生爬虫類の会代表の中島宏和さんによる「とちぎカエル探検隊」の20年をふりカエル、と題する講演会(13:30~15:00)が栃木県立博物館講堂で行われました。

この講演会は、栃木県立博物館友の会と栃木両生爬虫類の会の共催で行われました。
中島さんが2004年5月に設立した「とちぎカエル探検隊」は、今年で22年目になります。栃木県南部を主な活動場所として、カエルをはじめとする両生類・爬虫類の調査・観察会・学習会を行ってきました。栃木市や小山市などの小学生・中学生・高校生・大学生・社会人によるグループで、隊員数は最大時64名を数えました。

講演会は、中島さんの自己紹介から始まりました。
中島さんは、いわゆる「生き物大好き少年」でした。大学では「自然環境科学科」で自然史を専攻し、そこで学んだ「生き物マップ」づくりが、この後の人生に大きな影響を与えました。大学の卒業研究は「都心部におけるカメ相」。「とちぎカエル探検隊」の活動の原点は、すでに、ここにあったそうです。

講話では、「とちぎカエル探検隊」がこれまでに行ってきた主な活動(1)から(8)を順番に説明してくれました。

(1)鳴き声による「栃木市カエルマップ」作り

鳴き声によって種類を判別できる6種類(ヒガシニホンアマガエル、トウキョウダルマガエル、シュレーゲルアオガエル、カジカガエル、ムカシツチガエル、ウシガエル)を対象に調査しました。旧栃木市全域(総メッシュ数119)を網羅しているところが凄いです。
(2)カエルについての学習会

(3)早春のカエル産卵調査(救出作戦)


(4)川でのカエル調査

(5)県内の調査・活動団体との協働

私が2006年から実施している「トウキョウサンショウウオ生息状況調査」は皆勤賞です。人手を必要とする調査を支えてくれました。

(6)栃木市におけるヌマガエル調査

この調査は、本来、栃木県では生息していなかったヌマガエルが、旧栃木市に侵入しているかどうかを調査することから始まりました。「とちぎカエル探検隊」が最も力を入れて活動しているテーマの一つで、現在も継続した調査が行われています。

6月と10月(11月)には、定点調査を行っています。ヌマガエルの分布が広がるとともに、数が確実に増えていることが調査からも明らかになりました。

ヌマガエルは、本来西日本に生息しているので、寒さに弱いのではないか、という疑問を確かめるため、カエルの越冬調査を実施しました。

まだまだ答えにたどり着くことはできていないそうです。しかし、こうした手作りの調査の積み重ねの結果、わかってきたことがたくさんありました。
(7)栃木市におけるヤモリ調査

これも「とちぎカエル探検隊」が力を入れて活動しているテーマです。外来種であるヤモリが栃木市内でどのように分布しているかを毎年の地道な調査で解明しました。
(8)県内外の施設見学 そして‥

「とちぎカエル探検隊」では、毎年、お楽しみ会として、県内外で両生類や爬虫類を見ることができる施設を見学してきました。その集大成の一つが、結成当時の会員が20歳になった時に行くことを約束していた「沖縄 やんばるツアー!」なのかもしれません。

隊員たちの多くは、すでに社会人として活躍しています。その中には、教員となって戻ってくる隊員も多いそうです。写真は、中島さんがレディオベリーの取材を受けた際、教育実習生として戻ってきていた隊員と番組に出演した時のものだそうです。

最後に、「とちぎカエル探検隊」の活動を20年間続けてきて得られたことについて、語ってくれました。活動を通して、隊員の子どもだけでなく、それをとりまく大人たちも変わってきたそうです。
それを象徴するのが、今までは「カエルが鳴いている」だったのが、「〇〇カエルが鳴いている」に変わってきたことです。自然を見る目が明らかに変わってきました。
20年間の活動により、多くの子どもたちや大人たちが、自然環境を守ることがどういうことなのかを具体的にイメージできるようになり、仲間とともに行動することで得られるものがあることを知ったことは、とても素敵な体験であったと思います。


「とちぎカエル探検隊」の活動はこれからも続いていきます。調査対象の多様化、そして、持続可能な探検隊を目指していくことが、これからのテーマになっていくそうです。
そこには、どんな出会いがあるのでしょうか。両生類や爬虫類好きな仲間として、これからの「とちぎカエル探検隊」の活動から、ますます目が離せなくなりました。

中島さん、素晴らしいお話をありがとうございました。
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