オーケストラ・ウィーク③
2026年9月21日(敬老の日)、オーケストラ・ウィークの3日目。日本のオーケストラ界の最高峰と称せられるNHK交響楽団の登場です。20日は足利公演、21日は高崎公演が行われました。台風25号が接近する中、私は「高崎芸術劇場」に向かいました。

プログラムは
ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
休憩
シューマン/交響曲第4番
指揮:ファビオ・ルイージ
ヴァイオリン:アウグスティン・ハーデリヒ

NHK交響楽団(以下、N響)と高崎の関係は少なくとも56年前の1970年まで遡ります。高崎芸術劇場では、2020年の開館記念公演以来、N響の公演が行われています。
今日は台風25号の影響が心配されましたが、会場は満員でした。(14時開演)
第1曲:ウェーバー/歌劇「オベロン」序曲
→この1曲で、N響の凄さが明らかになりました。これは会場の違いも反映しています。
昨日の「東京芸術劇場」での聴こえ方は「豊かな残響と融合感」が特徴ですが、「高崎芸術劇場」での音の聴こえ方は「明瞭で直接的」です。
特にN響の弦の分厚い響きや管楽器、打楽器が明瞭に聴こえ、透明感さえ感じられました。それらの音量のバランスも絶妙でした。さすがは、日本最高峰のオーケストラ、と思いました。
第2曲:ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
→アウグスティン・ハーデリヒは、おそらく現在、世界最高峰のヴァイオリニストの一人です。全米の主要オーケストラをはじめ、ベルリンフィル、ウィーンフィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ロンドンフィルなど、世界有数のオーケストラと共演を重ねています。
抜群のテクニックはもちろんですが、音色の美しさ、フレーズの自然さが印象的でした。
シューマンの交響曲に合わせた厚いN響の弦楽セクションを相手にしても、力で押して独奏を前面に出すというより、ヴァイオリンの音色がふっと浮かび上がり、聴く人の心を離さない、といった感じの演奏でした。また、ハーデリヒはブラームスのヴァイオリン協奏曲のカデンツァを自分で作曲しています。「普通のブラームスのカデンツァとちょっと違うな」という気がしていたので、ハーデリヒ自身のカデンツァだったのかもしれません。
演奏は圧倒的な大成功で、ブラヴォーの声があちこちで飛び交いました。N響のメンバーからも割れんばかりの拍手が起こっていました。
アンコールが演奏されました。

シューマンの「トロイメライ」(ハーデリヒ編)
トロイメライであることは分かりましたが、全く聴いたことがない編曲でした。
ホールに掲げられた「本日のアンコール曲」の案内を見て、ハーデリヒ自らの編曲であったことが分かりました。
超絶技巧と抒情性が見事に融合した「トロイメライ」、次のシューマンの交響曲へと、さりげなくバトンをつないでくれました。
彼自身の公式スケジュールによると、昨日20日は足利、今日21日は高崎、明日22日は上海とありました。まさに、飛ぶ鳥を落とす勢いです。
第3曲:シューマン/交響曲第4番(改訂版)
→今日はこの曲が聴きたくて高崎にやって来ました。4月の群響定期で、シューマンの交響曲第1番を聴いて以来、今年はシューマンの他の交響曲も実演で聴いてみたいと思いました。シューマンの第4番がN響で聴けることを本当に楽しみにしていました。
この曲の最大の特徴は、全4楽章を切れ目なく演奏することで、4つの曲というより、最初から最後まで一本のドラマを見ているような感覚があります。(演奏時間は約28分)。
第1楽章:冒頭から低い弦や木管が作る暗い序奏で始まり、次第に内側から突き動かされるようなエネルギーが噴出します。
第2楽章:独白のような静かな音楽になります。
第3楽章:力強く執拗なリズムが続くスケルツォですが、最後に大きな聴かせどころが待っています。音楽はいったん静まりますが、低弦を中心に徐々に緊張が高まり、突然、暗闇から明るい世界が開けます。シューマンが生涯好んだ、暗闇から抜け出そうとするロマン主義的な精神のドラマです。
終楽章:その後は一気に前へ進みます。最後はテンポも加速し、それまで蓄積してきたエネルギーを全部放出するように終わります。心理的な閉塞から生命力が解放されるように、猛烈な勢いで駆け抜けます。
ファビオ・ルイージとN響は、目まぐるしく表情(音量やテンポ、楽器のバランス)を変えながら、シューマンの心の中のドラマをリアリティのある音楽に作り上げました。
この曲は、いろいろなCDでも聴いてきましたが、こんなにワクワクさせてくれる演奏は初めてでした。N響とファビオ・ルイージの相性は抜群です。



オーケストラ・ウィーク3日目、日本最高峰と称されるN響による「シューマンの交響曲第4番他」を聴くことができました。やはりシューマンの交響曲は、心躍るような魅力に溢れていました。
ちなみに、シューマンの交響曲第3番「ライン」を読売日本交響楽団(10月18日、東京芸術劇場)で聴く予定です。残るは、交響曲第2番だけです。




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