プラタナスの黄褐葉
- tokyosalamander
- 30 分前
- 読了時間: 3分
2025年11月19日(水)、旧足利西高校の敷地では、モミジバスズカケノキ(プラタナス)の葉が黄褐色に色づいています。


モミジバスズカケノキは、葉の形が優美で樹肌の斑紋が面白いので、街路樹として人気があります。世界中の街路樹として最もポピュラーな樹種の一つです。
紀元前330年頃、ギリシャにマケドニア王国を築いたアレキサンダー大王の軍勢がプラタナスの並木の下を通ったといった記録も残っているほどです。

日本には、ヨーロッパ原産のスズカケノキ、アメリカ原産のアメリカスズカケノキ、そして両種の雑種であるモミジバスズカケノキが見られます。街路樹として植栽されているのは、大気汚染に最も強いモミジバスズカケノキです。
明治25年にモミジバスズカケノキが初めて植栽された新宿御苑では、立派なプラタナスの並木となり、人々に親しまれています。
ところで、落葉樹は秋になると葉の色が変わりますが、その色の変化は、大きく3種類に分けられます。赤色(紅葉)、黄色(黄葉)、褐色(褐葉)です。
葉には緑色の色素 クロロフィルと黄色の色素 カロチノイドが含まれています。普段はクロロフィルの量が多いために緑色に見えますが、秋になって気温が下がり日照時間が短くなると、クロロフィル(緑色)が徐々に分解されてきます。しかし、カロチノイド(黄色)は残るので、葉は黄色に見えてきます。これが「黄葉」です。
また、秋になると葉を落とす準備のために葉柄と枝の境目に離層が作られます。この離層ができると、光合成で生産された糖分などが移動できず葉に蓄積して赤色の色素 アントシアニンに変化します。このため、葉が赤色に見えてきます。これが「紅葉」です。
このとき、アントシアニンの代わりにタンニン系の物質が生成されると、葉は褐色に見えてきます。これが「褐葉」です。ややくすんだ感じがします。
つまり、最初は葉が黄色くなる「黄葉」が見られ、さらに赤くなると「紅葉」、または褐色になると「褐葉」になっていく。このように、秋の葉の色は変化していきます。
プラタナスは、最初は黄色でだんだん褐色が強くなっていくことから「黄褐葉」とも呼ばれています。
これらの中で、最も綺麗で見ごたえがあるのは、言うまでもなく「紅葉」です。そのため、「紅葉」となるイロハモミジやトウカエデなどを植栽することで、各地で「紅葉の名所」が作られています。それはそれでいいのですが、それらは、人工的な美しさと言えるのかもしれません。

(みかも山公園の西駐車場のトウカエデ)
一方、里山の木々の色も変わっていますが、それらは「黄葉」や「褐葉」であることが多いです。例えば、こんな感じです。↓

(万葉庭園から見た「みかも山の風景」)
どちらかというと、地味であまり目を引くものではありません。しかし実は、「黄葉」や「褐葉」となる樹木はイロハモミジやトウカエデの街路樹よりも自然度が高く、ありのままの自然の風景なのかもしれません。
今年は、「黄葉」や「褐葉」も、例年より綺麗に色付いているような気がします。どの山々も色とりどりの美しさを放っています。




コメント