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​身近な風景

群響のブラームス

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 9月6日
  • 読了時間: 3分

更新日:5 時間前

2025年9月6日(土)、今日は高崎芸術劇場で、GTシンフォニック・コンサートvol.3

ロマン派の真髄 ブラームス」(指揮:大友直人)と題するオール・ブラームス・プログラムを聴いてきました。

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曲目は、

ヴァイオリン協奏曲(ヴァイオリン:前田妃奈)

交響曲第1番

というシンプルなプログラムです。じっくりとブラームスの音楽に浸ってください、というコンセプトが伝わってきます。

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今日一番の聴き物は、前田妃奈さんによる「ヴァイオリン協奏曲」でした。

前田さんは、2022年に、第16回ヴェニエアフスキ国際ヴァイオリンコンクールで優勝し、一躍国際的に注目を集める新進気鋭のヴァイオリニストです。このコンクールは、5年に1度開催される極めて権威のあるコンクールで、日本人としては、1981年の漆原啓子さん以来の41年ぶりとなる優勝です。まさに歴史的な快挙です。この時は19歳でした。


前田さんの演奏は、テクニックはもとより「表現力」や「人を惹きつける力」がぶっ飛んでました。見ていて、ロックだなあと思いました。前田さんは、演奏が始まると曲に没入しきっていますが、それだけでなく、さらにそれを見ている自分がいて、演奏の出来栄えに満足すると笑みがこぼれていました。


私が今までに見たヴァイオリニストは、少なくとも演奏中に明らかな笑みを見せることはありませんでしたが、前田さんは、ここぞというところをうまく弾ききると、決まってにこっと笑うんです。やったぜ!という感情が顔の表情となって、こぼれ出てくる感じで、かっこよすぎて、ちょっと怖いくらいでした。


この人は、本当に楽しんで弾いているんだなあと思いました。気持ちいいほど、ポジティブなブラームスでした。ちなみに、第16回ヴェニエアフスキ国際ヴァイオリンコンクールで優勝した時も、この曲を演奏していたので、大好きな曲なのかもしれません。

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2曲目の交響曲第1番は、大友直人さんの指揮によって、群響の上手さをマックスに引き出した美しい演奏でした。交響曲ではありますが、さらさらと流れるような、室内楽的なバランスの良さを感じました。

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第2楽章の独奏ヴァイオリンも曲の大きな流れの中で、美しさを際立たせていました。

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大友さんの指揮を聴くのは初めてでしたが、ブラームスをこういうふうに演奏しようという強烈な個性や野心を感じることはありませんでした。しかし、群響や各奏者のことを知り尽くし、信じていることからくる自信や安心感がにじみ出ていることを感じました。さすがは高崎芸術劇場の音楽監督だなと思いました。


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その結果、誰々が演奏するブラームス、という押しつけがましさは微塵もなく、ブラームスの音楽そのものが、目の前に美しく繰り広げられる、という体験をしました。交響曲第1番ってこういう曲だったんだなあ、こんなに美しい曲だったんだ、群響は相変わらず上手いなあ、といったことを感じました。


今この場で紡ぎだされた、あるがままのブラームスを満喫できたような気がしました。


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