トウキョウサンショウウオの定点調査(10月)
2026年10月3日(土)、秋晴れの日差しを受けながら、トウキョウサンショウウオの定点調査(10月)を実施しました。今回の調査では、科学部OBの関塚さん、栃木両生爬虫類の会の中島さんが参加しました。

前回(9月)の調査では、トウキョウサンショウウオの幼生を1個体のみ(調査地1)確認しました。今回(10月)の調査で、幼生が確認できなければ、幼生はこの調査の以前には、変態・上陸を完了させていることが推測できます。
<調査地1>

数日前に降った雨で、繁殖地から水がオーバーフローしていました。

電気伝導率(EC:Electrical Conductivity=水中に溶けているイオン全体の量の目安)やpHなどを測定しました。雨水はECが低く、地下水は地中のミネラルを多く含むためECが高くなる傾向があります。
前回(9月)の調査までは、トウキョウサンショウウオの幼生を確認できましたが、今回は確認できませんでした。残っていた幼生は、変態・上陸した可能性が高いと考えました。

中島さんが、地表を歩いている「コカマキリ」を発見しました。在来種です。
<調査地2>

草が枯れてきたので、調査地への入り口はすぐに見つかりました。

8月の強風で倒れた木

雨の影響で、水路は水で溢れていました。

網ですくって見ると、トウキョウサンショウウオの幼生はいませんでしたが、大型のヤンマのヤゴがたくさんいました。ひとすくいで数匹はいました。
<調査地3>
調査地2のさらに奥に位置しています。最奥部の休耕田の水路跡です。

水路があった場所には、水は全くありませんでした。ここに水路があった、という痕跡すらありません。


PS:調査地へと続く道端には、秋を彩る草花が咲いていました。

(左上)ミゾソバ:この植物が湿原を一面に覆っていました。
(右上)タデ:湿った場所に群生するタデの仲間です。
(左下)カントウヨメナ:淡い青紫色の舌状花と黄色い中心部を持つ「野菊」です。
(右下)ススキ:穂がまだ白くふわふわになる前の、やや若い段階です

ため池の水面には、ヒシの葉が覆っていました。

<調査地4>
調査地へと続く道には、セイタカアワダチソウが生えていました。秋晴れの空に映えていました。

水路に水は溜まっていましたが、トウキョウサンショウウオの幼生は確認できませんでした。

体中に「何か」が付いてますね。

アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩) の「ひっつき虫」です。この量はなかなか強烈です。
衣服による種子散布の仕組みを実感しました。

ワレモコウ(吾亦紅)です。
細長い茎の先の暗赤色の楕円形の花穂が特徴です。いかにも秋という植物です。
<調査地5>
この調査地は、民家の裏庭にある小さな池です。

ここでも、トウキョウサンショウウオの幼生は確認できませんでした。

また、ヤンマのヤゴも多数、確認できました。
この調査地からの帰り道、中島さんが道路で轢かれているヘビを発見しました。

ヤマカガシでした。近年、ヤマカガシはかなり増えているそうです。
<調査地6>
この場所では、8月の強風で大木が何本も倒れました。


これは大きな環境の変化です。
自然の力(強風)の破壊力を実感しました。6本の大木が同じ方向に倒れています。
トウキョウサンショウウオの幼生は確認できませんでした。

中島さんが、「ムネアカハラビロカマキリ」を捕まえました。体をひっくり返して腹側を見ると、あしの付け根の胸の部分が赤いことが特徴です。中国原産と考えられている外来種です。


「ツリフネソウ」がたくさん生えていました。
湿り気のある環境を好む植物です。

あまり見かけない赤とんぼが飛んでいました。全長4~5cmで、細い真っ赤な腹部が印象的です。これは、「マユタテアカネ」のようです。
以上で、6か所の定点での調査が終了しました。
前回の調査では、調査地1で、トウキョウサンショウウオの幼生が確認できましたが、今回は全ての調査地で確認できませんでした。
これまでの観察から、トウキョウサンショウウオは、遅くとも10月までには、幼生は変態上陸することが示唆されました。
今回も調査の道すがら、たくさんの生き物たちに出会うことができました。
調査地6の所有者のお宅の庭で、「ヒガシニホントカゲ」の姿を見つけました
なんだか、すごく得をした気分になりました。
今回の調査では、いたる所で「コスモス」が咲いていました。季節はすっかり秋になっていました。

変態・上陸を終えたトウキョウサンショウウオの幼体を見送っているように咲いています。
今度、上陸した幼体に会えるのは、数年後に成長し、産卵のために山から下りてくる時です。その時に、繁殖に適した水域が維持されていることを願わずにはいられません。




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