トウキョウサンショウウオの定点調査(8月)
- tokyosalamander
- 40 分前
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更新日:4 分前
2026年8月2日(日)、佐野高校科学部によるトウキョウサンショウウオの定点調査(8月)を実施しました。生徒とその保護者、科学部OBの関塚さん、栃木両生爬虫類の会の中島さん、科学部アドバイザーの宇都宮大学農学部の飯郷先生が参加しました。

(写真の掲載については、参加された皆さんの了解をいただいています。以下同様)
本調査は、近年の気象変動(産卵期の渇水、春先の気温上昇)の影響で、トウキョウサンショウウオの生息環境が急激に悪化しています。その実態を解明することを目的としています。
その方法として、4月に調査した産卵地を継続して1か月ごとに定点調査しています。今回(8月2日)は5回目の定点調査です。まず、①調査地で幼生の生息を確認します。次に、②調査地の水を採取し、本種の環境DNAの有無を調査します。この2つの方法で各産卵地で繁殖が成功しているかどうかを推定します。
また、今回は科学部OBで駒澤大学地理学科4年生の関塚くんも調査に加わりました。水が干上がりやすい要因として、調査地の水が主に雨水由来なのか、地面から染み出てきた地下水由来なのか、という観点から考察するため、各調査地で電気伝導率(EC:Electrical Conductivity=水中に溶けているイオン全体の量の目安)などを測定しました。雨水はECが低く、地下水は地中のミネラルを多く含むためECが高くなる傾向があります。
<調査地1>

この場所は、よほどのことがない限り水が干上がることはありません。

幼生を確認しました。ここでは、外鰓がほとんど吸収され上陸直前の幼生が5月中から確認されていることから、すでに変態上陸している個体も多数いると推測しています。
<調査地2>

今回も草が繁茂しているため、調査地への入り口がなかなか見つかりません。

草のカーテンをかき分けると、調査地へと続く道をようやく見つけました。
7月17・18日に記録的な大雨が降ったこともあり、水路には水が溜まっていました。

ここでは、トウキョウサンショウウオの幼生は、確認できませんでした。
5月23日(土)の時点で、水路は完全に干上がっており、それ以降の調査で幼生の姿は確認できていません。前回に続き、カエルの幼生を確認しました。

<調査地3>
調査地2のさらに奥に位置しています。最奥部の休耕田の水路跡です。
水はありましたが、トウキョウサンショウウオやカエルの幼生は確認できませんでした。この場所も、5月23日(土)の観察では水路が干上がっていました。


PS:調査地へと続く道端にはナツズイセンが咲いていました。

大きなクサガメの雌もいました。

ナツズイセンはヒガンバナの仲間で、「葉見ず花見ず」といわれる植物です。葉がない状態で地面から伸び、淡いピンク色のラッパ状の花を咲かせます。まるで何もない場所から突然現れたような姿は小さな驚きです。

赤とんぼも葉の上に止まっていました。
<調査地4>

調査地へと続く道には、たくさんのアザミが花を咲かせていました。私たちを調査地へと誘っているようでした。
その先の水路には水が溜まっていました。

5月23日(土)の観察では水路が干上がっており、6月の調査ではトウキョウサンショウオの幼生は確認できませんでした。
しかし、7月と今回の調査で、トウキョウサンショウウオの幼生を確認できました。確認できた場所は、水路が干上がっていた時にもかろうじて水気が残っていた領域です。トウキョウサンショウウオの幼生はわずかな水気が残る場所で生き延びていたのかもしれません。

7月の調査で採集された幼生と同一個体である可能性があります。

カエルの幼生も確認できました。

また、この場所はヤゴが多数生息していました。



白い水玉模様と縞模様の長い触角が印象的なゴマダラカミキリ。長い触角を左右に動かしながら周囲を探り、おもむろに飛び立っていきました。

青白い粉をまとったようなオオシオカラトンボにも出会いました。
<調査地5>

この産卵地は民家の裏庭にある小さな池です。裏山からの水が絶えず滴り落ちており、通常、水が枯れることはないそうです。

多数の幼生を確認できました。6月調査では、もっと大型の個体もいましたが、それらはすでに変態上陸したものと思われます。全体として、小型のものばかりでした。

周囲では、オレンジ色のコスモスが咲き始めていました。猛暑日でしたが、秋の気配は静かに忍び寄っていました。
<調査地6>

この場所は、かつてのため池が泥で埋まっています。今年は、この場所で水が枯れたことはないようです。

探索の結果、ため池の跡地と、そこから流れ出た水が溜まっている水路で、それぞれ1個体ずつ、トウキョウサンショウウオの幼生を確認しました。

小さなザリガニも採取されました。

この場所でもトウキョウサンショウウオが繁殖していることが分かりました。

変態上陸間際のヒガシニホンアマガエルもいます。色が緑色になっていたので、離れていてもすぐに分かりました。
突然、飯郷先生が木の上を指さしました。見上げると、クワガタやカナブンが樹液を吸っています。

捕虫網を長く伸ばし、ノコギリクワガタを捕獲しました。

今日の調査の最後に、恒例のサンショウウオのエラポーズで締めくくりました。
以上で、6か所の定点での調査が終了しました。
6か所中4か所でトウキョウサンショウウオの幼生を確認しました。完全に干上がってしまったことがある2か所では、今回も幼生を確認できませんでした。
これまでの観察から、すでに変態上陸した幼生がいると考えられますが、まだ小さな幼生もたくさん生息していました。変態上陸が完了するまでには、まだまだ日数がかかりそうです。それまでは、水が干上がらないことが重要です。
今回の調査でも、生息地の水環境が個体群の存続に大きく影響していることを実感しました。今後もトウキョウサンショウウオの生息実態を継続的に追跡していきます。
今回(8月2日)、採取した水はただちに校内で濾過します。これまでの調査分と合わせて、夏休み中(8月5~7日)に、宇都宮大学の飯郷研究室で、環境DNAを分析する実験を行う予定です。また、科学部OBの関塚さんの水質に関する調査はこれからも続きます。

今回も調査の道すがら、たくさんの生き物たちに出会うことができました。
秋に向けて幼生が無事に変態・上陸できるか、今後も見守っていきます。




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