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​身近な風景

トウキョウサンショウウオの定点調査(9月)

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 18 時間前
  • 読了時間: 6分

更新日:3 時間前

2026年9月5日(土)、佐野高校科学部によるトウキョウサンショウウオの定点調査(9月)を実施しました。今回の調査では、8月11日夜に通過した台風15号に伴う強風の影響を目の当たりにしました。



近年の気象変動(産卵期の渇水、春先の気温上昇)の影響で、トウキョウサンショウウオの生息環境が急激に悪化しています。本調査はその実態を解明することを目的としています。


その方法として、4月に調査した産卵地を継続して1か月ごとに定点調査しています。今回(9月5日)は6回目の定点調査です。①調査地で幼生の生息を確認し、②調査地の水を採取し、本種の環境DNAの有無を調査します。この2つの方法で各産卵地で繁殖が成功しているかどうかを推定します。



<調査地1>

この場所は、よほどのことがない限り水が干上がることはありません。


幼生を1個体のみ確認しました。8月2日(日)の調査では10個体確認していたので、この間に、多くの幼生は変態上陸したと考えられます。この個体も外鰓がかなり吸収されており、上陸直前です。



<調査地2>

今回も草が繁茂しているため、調査地への入り口がなかなか見つかりませんでした。草のカーテンをかき分けると、調査地へと続く道をようやく見つけました。


産卵地には、何本もの倒木が行く手を阻んでいました。


8月11日21:09、佐野では台風15号に伴う強風が、最大瞬間風速26m/秒(観測史上8月の1位の値)を記録しました。県内各地で倒木があったため、この調査地でも、その際に倒れたのではないかと推測しました。栃木県内で倒木相次ぐ 宇都宮駅前や東北道で道を塞ぐ けが人なし


水路には水がありましたが、トウキョウサンショウウオの幼生は確認できませんでした。


ここでは、5月23日(土)の時点で水路は完全に干上がっており、幼生は全滅していたと考えられます。それ以降の調査で幼生の姿は確認できていません。



<調査地3>

調査地2のさらに奥に位置しています。最奥部の休耕田の水路跡です。

8月2日の調査では水路の場所は確認できましたが、今回は水路がどこにあったのかさえ判別できないほど、草に覆いつくされていました。このひと月で、これほど繁茂するとは。行きつくまでが大変でした。もちろん、水路に水は全くありませんでした。


この調査地も5月23日(土)の時点で水路は完全に干上がっており、それ以降の調査で幼生の姿は確認できていません。


調査地へと続く道端に、ヒダリマキマイマイがいました。

ヒダリマキマイマイは、その名のとおり、左巻きの殻をもつ大型のカタツムリです。殻の大きさは4~5cmにもなります。


動画からはコオロギの仲間の鳴き声が聞こえてきます。「リー、リー、リー……」と規則正しく鳴いていることから、ツヅレサセコオロギの可能性が高いです。非常に身近なコオロギで、童謡「虫のこえ」に登場するコオロギは本種だとされています。



農業用のため池の水面は、ほぼ全面がヒシで覆われていました。(8月調査の時は、水面の半分くらいでした)


周囲では、秋の花々が咲いていました。


キンミズヒキの仲間


ヒヨドリバナ

山野や林縁で普通に見られるキク科の多年草。夏から秋に白~淡い紅紫色の小さな花を咲かせ、花から糸のように伸びる雌しべが特徴的です。


アレチヌスビトハギ

北アメリカ原産のマメ科の多年草。夏から秋に鮮やかなピンク色の蝶形花を咲かせ、実は衣服などにくっついて運ばれます。


ススキ

秋の七草の一つとして古くから親しまれてきたイネ科の多年草。秋になると長い花穂を伸ばします。


頭上には、クリカキが実を付けていました。里山では、これから秋本番を迎えます。



<調査地4>

この調査地は、一時、ほとんど干上がっていましたが、かろうじて水が残っていた場所では幼生がわずかに生き残っていました。


5月23日(土)の観察では水路が干上がっており、6月の調査ではトウキョウサンショウウオの幼生は確認できませんでした。


7月と8月の調査では、トウキョウサンショウウオの幼生を1個体のみ確認できました。


9月の調査では、幼生を確認することはできませんでした。おそらく、変態上陸したのではないかと思われます。



調査地へと続く道では、チカラシバエノコログサの見事な群生がみられました。

チカラシバは、秋になるとブラシのような太い穂をつけます。根が非常に強く、引き抜こうとしてもなかなか抜けないことから「力芝」の名があります。


ヌスビトハギが彩を添えていました。林縁や道端に生えるマメ科の多年草です。

実が衣服や動物にくっついて運ばれる「ひっつき虫」の仲間です。



<調査地5>

この産卵地は佐野市梅林公園近くの民家の裏庭にある小さな池です。裏山からの水が絶えず滴り落ちており、通常、水が枯れることはないそうです。


8月の調査では多数の幼生を確認できましたが、今回は2個体のみ確認しました。

このひと月の間に、ほとんどの個体は変態上陸したものと思われます。


7月の調査では、ギボウシが咲いていましたが、9月では実ができていました。


オレンジ色のコスモスが本格的に咲いていました。里山の季節はもう秋ですね。



<調査地6>

ここでは、驚きの風景が広がっていました。何本もの大木が根こそぎ倒れています。


調査地2の倒木と同様に、8月11日夜の台風15号に伴う強風の影響と考えられます。

この倒木は根鉢ごと持ち上がって倒れています。これは「強風」だけでなく、地盤が水を含んで根の支持力が落ちていたことも関係した可能性があります。8月8~9日の雨で地盤が湿り、根の支持力が低下していたところへ強風が加わったことが原因と考えられます。

この木は、先ほどの倒木に巻き込まれて倒れた可能性があります。

この調査地では、少なくとも4本の倒木を確認しました。


自然の脅威を目の当たりにしました。



ちなみに、8月調査(8月2日)の調査地6はこんな感じでした。↓

あまりの変わりように、びっくりしました。


この場所は、かつて水深70cm程度あった池が泥で埋まっていますが、水が完全に干上がることは滅多にないようです。


8月の調査ではトウキョウサンショウウオの幼生を確認できましたが、今回は確認できませんでした。



以上で、6か所の定点での調査が終了しました。


6か所中2か所でトウキョウサンショウウオの幼生(合計3個体)を確認しました。

いずれも変態上陸直前の個体でしたので、9月中には変態上陸を完了すると考えられます。

(厳密には、10月の調査で確認する必要があります。)


今回の定点調査によって、今年の変態上陸の時期は、おおむね6月頃から9月までであることが明らかになりました。これは定点調査の大きな成果の一つだと思います。


幼生が変態上陸する時期・期間は、生息地の水が一度も干上がらないことが重要です。



今回も調査の道すがら、たくさんの生き物たちに出会うことができました。

調査地6の道端には、ホオズキが地を這っていました。

秋になると鮮やかな橙赤色になるナス科の植物で、提灯のような姿でよく知られています。栽培される植物という印象がありますが、人家周辺や山際で野生化していることもあります。


トウキョウサンショウウオが変態上陸を完了する頃、里山は秋本番を迎えようとしていました。

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