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​身近な風景

スズメの幼鳥

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 7月21日
  • 読了時間: 3分

2025年7月21日(海の日)今朝、えりだびんちさんから、スズメの幼鳥の写真が届きました。

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「朝6時、スズメの子どもがチュンチュン鳴いていました。あまり警戒していなかったので、窓越しに撮影することができました。」

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→それにしても、かなりの近距離ですね。おそらく窓ガラスが反射して、人の姿が見えなかったのかもしれませんね。

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「親鳥は近くにはいましたが、警戒していて近寄ってきませんでした。」

→親鳥の視点からは、窓の中で幼鳥を見ている人間の姿が見えていたのかも。

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→こちらをじっと見ているような感じもしますね。くちばしの一部が黄色いのは幼鳥の印です。


「そのうち、親鳥と一緒に飛んで行きました。」

「ツバメの時は、初めは警戒しますが、だんだん慣れてきて、親鳥も写真に撮りやすいけど、スズメの警戒心はかなりすごい気がしました。」


スズメとツバメの警戒心の違いについて、さすが、えりだびんちさん、よく観察されていると思いました。


その違いは、それぞれの生活の歴史を反映しています。


人間がまだ狩猟や野生の木の実などの採集によって生活していた頃、おそらく、スズメは草原の雑草の実などを主な餌として生活していました。やがて、人間の農耕が始まると、人間が栽培した穀物がスズメの餌のメニューに加わったと考えられます。


スズメはこの時から、稲穂を食べる害鳥として、人間から追い払われる存在となりました。人間とスズメの稲穂を巡る争いの歴史が始まりました。かつては田んぼに立っていたカカシはその象徴です。また、追い払うだけでなく、時にはスズメを捕まえ焼き鳥として食べていました。


実は、私も数十年前には焼き鳥屋でスズメを食べていました。詳細は生物情報誌「すっかんぽ」1990年11月号「がんばれ!寒すずめ」をご覧ください。


こうした歴史から、スズメは人への警戒心が強まったと考えられています。もちろん、スズメにはネコ、カラス、猛禽類などの外敵はいますが、それに人間が加わりました。


一方、ツバメはどうでしょうか。ツバメもネコやカラス、猛禽類といった外敵を警戒しています。ツバメはそういった外敵から身を守るために、人間をうまく利用しています。人間の生活圏内なら、外敵からの危険をかなり回避できたり、時には、外敵を追い払ってくれたりします。ましてや、ツバメを食べようとする人間はいません。ツバメにとっては、人間は心強い「用心棒」なのかもしれません。ある程度の妥協を覚悟しながら、人間と共存する道を選びました。


このように、スズメとツバメが人間に慣れるか、については、それぞれの生活の歴史の違いを反映していると考えられます。しかし、その警戒心は親から子へ伝えられるものなのか、あるいは、遺伝子に刻まれているレベルなのかは、わかりません。根気と時間をかけて信頼関係を築けば、スズメも慣れるそうです。


(参考文献)

・朝日新聞社:朝日百科「動物たちの地球」より鳥類Ⅱ「スズメ、カラス」(1994)

・佐野昌男著「信州の自然誌 スズメ 人里の野鳥」(1988)

・すずめの意外な真実より、「すずめは人に慣れるか慣れないのか?」


 
 
 

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