今市高校「課題研究発表会」
- tokyosalamander
- 2月28日
- 読了時間: 3分
2025年2月27日(木)、今市高校の「課題研究発表会」で、足利大学工学部建築土木分野の大野隆司准教授が講評を行いました。

今市高校は日光市にあります。日光連山(左から、男体山、大真名子山、女峰山)がすぐ近くに見えていました。

校長先生の「今市高校の課題研究を変えていきたい」という熱い思いを受け、大学生や高校生と探究活動を実践している大野先生に講評をお願いすることにしました。
当日は、学年代表となった5組の発表がありました。地域の人口減少問題や活性化をテーマにした熱のこもった発表がありました。

それを受けて、大野先生の30分間の講評がありました。

大野先生は自己紹介から始めました。
建築家でもある大野先生は学生時代から世界各地の建築物を求めて旅をしてきました。大学卒業後は単身でインドに旅立ち、飛び込みで大学の教員生活を始めました。大野先生にとって、教育や研究は、地域貢献と密接に関わり合っています。大野先生の研究人生は、探究そのもの、と言えるのかもしれません。

講評に先立ち、「なぜ、探究をするのか? それは人生は探究そのものであり、それが全てである。」ということを明確に話をされました。

続いて、生徒の発表一つ一つについて、具体的にアドバイスをしました。「なぜ若者が足尾から出て行ってしまうのか」というテーマでは、いつの間にか、人口を増やすことにすり替わっているため、何をテーマにしているのかが曖昧になっていることをわかりやすく説明しました。

また、先行事例の研究では、はたして足尾と比較することで参考になる事例なのか、ということも指摘していました。高校生だから、これくらいでいいか、という発想はなく、本当にそれでいいの、という本気度が生徒にも伝わっていました。

「NIKKO 食べ歩き」については、身近なところにテーマを設定していることやベンチが足りないのではないか、という発想の素晴らしさを評価したうえで、「なぜ、ベンチが5個しかないのか、まず、その理由を調査しよう」というアドバイスや、「実際に自分たちでベンチを作り、それを置いてもらうことで何が変わるのかを調べてみたら」というアイディアも示してくれました。おそらく、大野先生だったら、こうしていただろう、という本音をぶつけていました。

また、ジビエ料理が日光に人を呼び込む起爆剤になるのではないか、という提言については、ジビエ料理の材料を提供する猟師さんはどんな人たちで、どれくらいの量を提供できるのか、実際に猟師さんに会って話を聞いたり、猟の様子を見せてもらったりすることも大切である。また、どんな調理をすれば、人気のあるメニューになるのか、実際に料理を作ってみるのも、高校生ならではの研究になるのではないか、という話は、探求って、なんだか楽しそう、と思わせるものでした。
こんなこともできるんだ、やっていいんだ、と既成概念を超えることが探究の醍醐味であることを感じ取ってくれたと思います。

最後に、生徒の課題研究の良かった点を改めて示すとともに、「突拍子もないアイディアも必要。」と、高校生へのエールを送っていました。

発表会終了後、玄関でたまたま出会った生徒に、今日の大野先生の話どうだった?と聞いたところ、「発表に対して批評してくれたところが良かった」と答えてくれました。やはり、本気で関わろうとする大人の本音は伝わっているんだなと思いました。今後は、今市高校と連携しながら、生徒の探究活動を充実させていきたいと考えています。
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