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​身近な風景

県博企画展「外来生物」

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 2 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:23 時間前

2025年5月31日(土)、栃木県立博物館の企画展「外来生物」に行ってきました。10時から、シンポジウム「栃木県の外来生物対策」に参加しました。

タイトル「外来生物」には、~人によって運ばれた生き物たちからのメッセージ~というサブタイトルが付いています。


外来生物とは、もともとその地域にいなかったのに、人の活動によって他地域から持ち込まれた生き物のことです。


外来生物=悪者、というイメージがありますが、実はそうではありません。もちろん、人の体や暮らし、生態系に多大な影響を与える外来生物も存在していますが、外来生物の恩恵なくして私たちの生活は成り立ちません。

人によって運ばれた生き物たちからのメッセージに耳を傾け、外来生物との付き合い方を考えていきましょう、というのが今回の企画展です。


第1章 外来生物って何?

第2章 外来生物がもたらす悪影響

第3章 とちぎの外来生物

(↑企画展「外来生物」のチラシの裏面より)


「蜂蜜の女王」アカシア蜂蜜は、ハリエンジュの蜂蜜です。

オオサンショウウオ(在来種)とチュウゴクオオサンショウウオ(外来生物)

「とちぎの外来生物」のコーナーです。

巨大なカミツキガメの標本がありました。

ロビーでは「初確認」された外来種が紹介されていました。

充実した展示を見るだけで、時間が経つのも忘れるほどでした。


10時から、シンポジウム「栃木県の外来生物対策」が講堂で開催されました。


神奈川県立生命の星・地球博物館の苅部治紀氏の基調講演「日本の自然にとどめを刺す外来生物との闘い-その被害実態と在来種保全第一」から始まりました。

まず、非常に衝撃的なタイトルに度肝を抜かれました。また、単なる「戦い」ではなく、「闘い」という表現にも惹かれました。「闘い」という言葉には、勝つことではなく、困難に打ち勝つこと、負けないことが目的だという強い信念が込められています。


講演の中では、まず、最悪の外来種とされるアメリカザリガニによって、貴重な水草や昆虫が絶滅していった数々の事例やそこでの壮絶な闘いが紹介されました。しかも、いったん入り込んだアメリカザリガニを根絶するのは絶望的です。


さらに、小笠原での外来爬虫類グリーンアノールや、ホテイアオイ、スイレンなど、生物による環境破壊に加え、近年ではゲリラ豪雨や干ばつなどの気候変動が大きな影響を与えるようになってきました。ゲリラ豪雨で池などから溢れ出た水によって、それまで封じ込めていた外来生物が周囲に拡散してしまったり、干ばつで池が干上がり、外来生物だけでなく、そこにいたすべての生き物が死滅するなど、時間をかけて積み上げてきた成果が一瞬にして失われてしまうこともあるそうです。


また、ある特定の外来生物を駆除しようと、狭い分野しかみていないと思わぬ影響が出てくることもあるそうです。例えば、両生類の専門家が外来生物のカエルを駆除しようとすると、それによって希少な植物も壊滅的な影響を受けることもありました。また、在来種の魚類を保全するためにブラックバスを駆除した結果、ブラックバスによるアメリカザリガニへの捕食圧が無くなり、アメリカザリガニが大増殖をし、在来種が捕食されたという事例もあったそうです。こうした事態を回避するためには、さまざまな分野の専門家による環境リスク管理が重要になってくるということでした。


また、特定の外来生物を根絶すること自体が目的化してしまう危険性にも警鐘を鳴らしていました。在来種が減少する原因には、外来生物の影響以外にも、汚染物質の流入や気候変動の影響などが複合的に関与している場合があります。それらを見極めたうえで、在来種を保全するための手段の一つとして、外来生物の駆除を考えなければならないという主張に納得しました。


そして、特定の外来生物の根絶させるのか、あるいは影響を押さえられる程度の数に減少させるのか、「何を目指すのか」という戦略を考えて闘うことの重要性を教えてくれました。いずれにしても「終わらない闘い」を続けていかなければならない苦悩が伝わってきました。


力のこもった、それでいて冷静な語り口の講演から、多くを学ぶことができました。



さて、博物館のミュージアムショップでは、パンフレットを始め、さまざまなグッズが販売されていました。

私は企画展「外来生物」のパンフレットと外来生物の限定アイシングクラッカーを購入しました。(アイシングとは、一般的に砂糖や卵白を着色してクッキーやビスケットなどをデコレーションすることを言います。)

クリーム状にした砂糖でコーティングしたクラッカーに文字や写真がコーティングされています。サクサクとしたクラッカーと甘い砂糖が口の中で溶け合って、美味しかったです。

15種類入りで450円でした。


今日は一日中、強い雨と時折吹いてくる強い風のため、寒いくらいでしたが、企画展「外来生物」の会場には、熱気が渦巻いていました。

 
 
 

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