美味しいもの見聞録㉗
- tokyosalamander
- 3月3日
- 読了時間: 4分
2026年3月1日(日)、福井銘菓「久保田の水羊かん」が、道の駅「どまんなかたぬま」(佐野市吉水町)で大量に販売されていました。

内容量250g、税込み600円でした。賞味期限は3月14日となっており、買った日(3月1日)から2週間もありました。
通常、福井の水羊かんの消費期限は6日程度とされていますが、なぜ2週間もあるのでしょうか。そして、なぜ「どまんなかたぬま」で売られていたのでしょうか。疑問は深まるばかりです。

紙箱のフタを開けてみると、真空パックされたプラスチックのケースのフィルムの内側に、脱酸素剤(エージレス)が入っていました。脱酸素剤(エージレス)は、密閉容器内の酸素を吸収、ほぼ無酸素状態を作り出し、食品などの劣化を抑える働きをします。

外側の透明フィルムをはがすと、水羊かんの上に、さらに透明シートが載せられていました。
つまり、水羊かんが、空気(酸素)と極力接触しないように、①真空パックのシート、②脱酸素剤(エージレス)の封入、③水羊かんの上に敷かれた透明シート、と三重に守られていることがわかりました。まさに、鉄壁の防御態勢!これが賞味期限2週間を可能にしたのでしょうか?
その前に、味を確かめてみることにしましょう。

付属のヘラを使って小分けします。6等分すると一人3切れ。ちょうど二人分です。

黒糖の風味は抑えられており、ツルんとした食感が食欲をくすぐります。おいしい福井の水羊かんの味が佐野でも手軽に味わえました。味も完璧です。
さて、準備は整いました。福井の水羊かんの美味しさはそのままで、賞味期限を2倍に伸ばした秘密、そして、「どまんなかたぬま」で売られていた理由を確かめてみましょう。
こういう時は直球勝負です。水ようかんの箱に記載されている久保田製菓有限会社の連絡先に電話すると、感じの良い女性の方が親切に対応してくださいました。
伺いたいことは次の3点に絞りました。
①なぜ、賞味期限2週間になったのか
②なぜ、「どまんなかたぬま」で売っていたのか
③なぜ、冬季しか製造販売しないのか
①については明快な答えが返ってきました。
もともと、水羊かんは紙箱に直接流し込み、固まったものを販売していました。糖度が低いため、6日程度しか日持ちしません。これは福井県内限定販売の「箱流しタイプ」で直営店でのみ購入できるそうです。


以上は、久保田製菓のHPの写真です。久保田製菓 | 福井・水ようかん
紙の容器をプラスティックの容器に変え、真空パックにしたものが、駅などの土産物店で売られています。賞味期限は6日間で変わりません(パック小250g、税込み475円)。
久保田製菓以外の多くのメーカーは、ここまでの対応のようです。
久保田製菓は、エージレスタイプ(日持ちタイプ)を開発しました。その結果、味は変えずに賞味期限を2週間に伸ばすことに成功しました。これによって流通の幅は飛躍的に広がりました。その代わり、価格はパック小250gで税込み600円になりました。これは、どまんなかたぬまで購入した値段そのものです。
次の質問です。
②どまんなかたぬまで、大量に売られていた理由は、定期的に注文してくれるので、発送しています、という当たり前の答えが返ってきました。つまり、それだけ売れているということなのでしょう。
最後の質問です。
③それだけ日持ちするのであれば、冬季でなくても製造・販売できるのではないか、という素朴な疑問に、技術的な問題はありませんが、「水羊かんを冬季のみ食べるのが福井の文化なんです。」という答えが返ってきました。自分たちは福井の文化の中で水羊かんを作って売っているので、それを変えてまで売ろうとは思っていないそうです。
久保田製菓の水羊かんはネットで購入することもできますが、販売するのは11月頃から3月まで、ということです。それを過ぎれば、どんなに食べたくても、その年の冬(11月頃)まで待たなくてはなりません。お知らせ | 久保田製菓 | 福井・水ようかん
久保田製菓のHPの中には、こんな一節がありました。
「全国の皆様にも、
あたたかくしたお部屋で
のどごしのいいやさしい甘さを
お楽しみいただきたいと願っています。」
これで納得しました。
単に「水羊かん」という商品を販売しているのではなく、寒い冬に暖かい部屋で食べる水羊かんの美味しさを味わってもらいたい、と考えているのですね。これはもう文化そのものです。
美味しいものを美味しく食べるには、それぞれの文化に根差した時期があるようです。福井の水羊かんが食べられる期間は、福井の名物「越前ガニ」の解禁期間(11月6日ごろ 〜 翌年3月20日ごろ)とも重なっています。
こうしたことを当たり前のように感じることが、文化を守ることにつながっているんだなと思いました。




コメント