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​身近な風景

群響「ジュピター・新世界」

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 2025年9月21日
  • 読了時間: 3分

2025年9月21日(日)、太田市民会館で東毛定期演奏会(モーツァルト「ジュピター」、ドヴォルザーク「新世界より」)を聴きました。曲目だけ見ると名曲コンサートですが、実は古楽奏法による石破天驚な演奏でした。

演奏会のチラシには、「石破天驚!」と書かれていました。「せきはてんきょう」とは、石が破れて、天が驚くほどに斬新で素晴らしいという言葉ですが、あながち誇張ではありませんでした。

フランスのコルシカ生まれの指揮者ジャン=クリストフ・スピノジさんは、みずから創設した古楽器によるアンサンブル・マテウスを率いています。モーツァルトのジュピターやドヴォルザークの新世界よりを古楽奏法で演奏したらどうなるのか、という期待が高まりました。


今回の会場は、太田市文化会館です。2017年に落成した新しいホールです。

素晴らしい音響です。 ↑パンフレットの写真より


プログラム:

吉松隆「鳥は静かに‥」

モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」

ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」


1曲目の吉松隆「鳥は静かに‥」は約8分間の弦楽合奏(弦楽器5部)です。死んだ仲間を取り囲む鳥たちをイメージして書かれたそうです。あるアマチュアのアンサンブルから、「亡くなった仲間への追悼」の意を込めた弦楽作品として作曲が委嘱されました。

しっとりと落ち着いた弦の響きがすっきりと見通せる素晴らしいホールのお陰で、この曲の魅力を堪能することができました。


2曲目の「ジュピター」はまさに石破天驚の音楽でした。一音一音を短く切って演奏する冒頭のフレーズを聴いただけで、古楽奏法とわかりました。古楽奏法によるモーツアルトの演奏では、トン・コープマン指揮による安定したテンポ感と、装飾音満載の華麗で優雅な演奏が好きなのですが、スピノジ指揮の群響の演奏は、鋭いアクセントと自在なテンポの変化の連続で、未知の領域に連れていかれました。特に、第2楽章アンダンテや第3楽章メヌエットなどのゆっくりした楽章では、時に音楽が止まってしまうかのようにゆっくりになるかと思うと、パンチのあるアクセントで一気にソロが立ち上がったり、目まぐるしく変わる楽しい仕掛けが満載で、奇天烈感に酔いしれました。群響もよく付いてきていました。しかし第4楽章では、スピノジのパッションが全開。まるで踊っているかのように強烈にドライブし、群響と一体化していきました。最後の頃は指揮台から降りて(落ちて?)指示を出したりしていてびっくりしました。これほど盛り上がった感動的なフィナーレは初めてでした。これぞ石破天驚! 素晴らしすぎるジュピターでした。


3曲目の「新世界から」は、ジュピターほどのテンポの変化はありませんでしたが、鋭いアクセントや音の強弱の変化は健在でした。第2楽章ラルゴのイングリッシュホルンの旅路の旋律のしみじみとした歌わせ方などは、古楽奏法の良さが光っていました。ロマン派の音楽ということもあり、ジュピターの演奏のような奇天烈感はありませんでしたが、さんざん手あかのついた名曲「新世界より」がこのような新鮮な音楽として鳴り響いたのは驚きでした。最後の第4楽章は、ジュピターの第4楽章の様に、強い音圧で一気呵成に曲を盛り上げてくれました。こちらも大満足でした。

今回は、スピノジさんと群響の初共演でした。群響はスピノジさんの自由過ぎる指揮によくくらいついていたと思いました。スピノジさんには、また群響に来てほしいなと思いました。最高に楽しかったです。


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