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​身近な風景

群響「芥川、ショスタコ、プロコ」

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 6月23日
  • 読了時間: 3分

2025年6月22日(日)、群馬交響楽団「第609回定期演奏会」は、群響初の女性指揮者ヨハンナ・マラングレが登場しました。芥川也寸志の若き日の代表作「トリプティーク」から始まり、芥川が影響を受けた旧ソ連の作曲家であるショスタコーヴィチプロコフィエフの作品を集めたロシアン・プログラムを堪能しました。

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【出演】

指揮/ヨハンナ・マラングレ

ピアノ/アレクサンドル・メルニコフ*

トランペット/イエルーン・ベルワルツ**


【曲目】

芥川也寸志/弦楽のための三楽章「トリプティーク」(1953)[生誕100年記念]

ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 作品35[没後50年記念]* **

ショスタコーヴィチ/ピアノ協奏曲 第2番 ヘ長調 作品102[没後50年記念]*

プロコフィエフ/バレエ音楽《ロメオとジュリエット》第2組曲 作品64ter


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今回の定期演奏会は、まず群響初の女性指揮者ヨハンナ・マラングレに注目が集まりました。演奏前のプレトークでは、1曲目の芥川也寸志の「トリプティーク」に関して大半の時間を費やしていました。この作品は海外で演奏される機会が多い代表作ですが、後から演奏されるショスタコーヴィチやプロコフィエフを聞くと、いかに彼らの影響を受けていたかわかるはずだ、と語っていました。おそらく、今日のプログラムを貫くバックボーンがここにあるかのような印象を受けました。


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マラングレさんの指揮ぶりは、手を大きく円を描くように動かすことで、流れるようなしなやかさを演出するとともに、長身の体をさらに伸ばしたり、屈んだりすることで、音量のダイナミズムを明確に伝えていました。見ているだけでもわかりやすい指揮でしたので、群響は演奏しやすかったのではないかと思います。


第1曲の芥川作品では、この曲に対するリスペクトが感じられ、その誠実な表現に引き込まれました。続くピアノ協奏曲では、ピアノとトランペットのソリストの超絶技巧に圧倒されましたが、メリハリをつけ要所を締めていたマラングレさんの指揮の影響は大きかったと思います。最後のプロコフィエフ/バレエ音楽《ロメオとジュリエット》第2組曲では、曲を楽しく聞かせるという、ツボを心得た演奏だったと思います。

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今回のロシアン・プログラムでは、前回の定期演奏会で演奏されたショスタコ―ビッチの交響曲第8番のような民族性とか悲劇性、政治色等は影を潜め、聴衆を楽しませるような数々の仕掛けを感じました。


たとえば、ピアノ協奏曲では超絶技巧であったり、バレエ音楽《ロメオとジュリエット》では、映画音楽のようなわかりやすいキャッチ―な旋律など、現代のエンターテイメントに繋がる要素がふんだんに散りばめられていました。ロメオとジュリエットの第5曲、別れの前のロメオとジュリエットでは、突然、ジョン・ウイリアムスの「ジュラシックパーク」の一場面が頭に浮かびました。


おそらく、そう感じさせてくれたのは、指揮者のマラングレさんが、それぞれの曲の魅力や楽しさを、それこそ全身を使って伝えようとしていたことと無縁ではなかったと思います。

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聴衆も大いに満足していました。

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マレングレさんはCDの録音などの実績はまだないようですが、きっと、今後大注目される指揮者になるのではないかと期待しています。さすがに群響は見る目があるなと思いました。

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