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​身近な風景

群響:春そしてシューマン

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 14 時間前
  • 読了時間: 4分

更新日:13 時間前

2026年4月25日(土)、群響の新しいシーズンの幕が開きました。群響初登場の新星オスカー・ヨッケルの指揮による第617回定期演奏会。最後には、シューマンの交響曲第1番《春》が演奏され、群響の新しい風を感じました。


今回の演奏会は、今シーズンの開幕にふさわしく、春をテーマにしたコンサートでした。


プログラムの前半

細川俊夫:室内オーケストラのための《森の中で》(2024)

ヴィバルディ:《四季》より「春」*

ヴォーン・ウィリアムズ:《揚げひばり》*

ヤナーチェク:《利口な女狐の物語》組曲(マッケラス編)


後半

シューマン:交響曲第1番《春》


指揮/オスカー・ヨッケル

ヴァイオリン/毛利文香



群響は2025年に創立80周年の節目を迎え、音楽監督である飯森範親の下で、大きな躍進を遂げました。しかし、飯森さんは3月末に任期満了で退任され、今シーズンは音楽監督不在でスタートしました。実に7名の指揮者が群響定期に初登場します。


今回の指揮者オスカー・ヨッケルさんは、1995年ドイツのバイエルン州レーゲンスブルク生まれの弱冠30歳ですが、ベルリン・フィルの首席指揮者キリル・ペトレンコのアシスタント・コンダクターなどを務めた期待の新星です。


特に2024/25シーズンの躍進は著しく、ザクセン州立歌劇場、ミュンヘン・フィル、ベルリン・ドイツ響、バンベルク響、ORFウィーン放送響、コペンハーゲン・フィル、SWR響、ブレーメン・フィルハーモニー管弦楽団、ゲヴァントハウス管、ケルン・ギルツェニヒ管、ウィーン・トーンキュンストラー管、シュトゥットガルト室内管、リュブリャナ放送響などに客演しています。


わずか1年間でこれだけのオファーがあったということは、相当な実力者なのでしょう。2026年4月に初来日し、オペラ《ルル》(二期会、東京フィルハーモニー交響楽団)での指揮の後、本日25日、群馬交響楽団で交響曲デビューを果たしました。

前半のプログラムでは、毛利文香さんの鮮烈で知的なヴァイオリンに魅了されました。毛利さんは、テクニック的なことはもちろん最高ですが、感情に流されず、常に全体を俯瞰しながら、曲を完全に手中に収めている印象がありました。日本やドイツの音楽大学だけでなく、慶應義塾大学文学部も卒業されている異色の経歴からそう思えたのかもしれませんが、クレバーなヴァイオリニストだなと思いました。アンコールもノリノリで演奏してくれました。


後半のシューマンがやはり今回の最大の聴きものでした。シューマンの交響曲は定番でありながらも頻繁に取り上げられるタイプの作品ではありません。隣に座っていた群響定期の常連と思しき人達は、「シューマンはずいぶん久しぶりだねえ」と話していました。


シューマンの交響曲をあえて取り上げる場合は、指揮者がそれを演奏したい、という強い意欲がある場合が多いのではないかと思います。例えば、NHK交響楽団ではサバリッシュさんやエッシェンバッハさんなどは、好んでシューマンの交響曲を演奏していました。


今回、オスカー・ヨッケルさんの本気度を感じたのは、オーケストラの楽器の配置です。


第1ヴァイオリン(左)、

第2ヴァイオリン(右、対向配置)、

ヴィオラ:右、

チェロ(中央)、

コントラバス(チェロの後ろ〜外側)

これはいわゆる 「低弦中央配置+対向ヴァイオリン」型です。


これによって、特に第2楽章では、第1ヴァイオリン(左)と 第2ヴァイオリン+ヴィオラ(右)が対話するように聞こえ、中央のチェロが“語り手”のように全体を支える、という効果が生まれました。


さらに特徴的だったのが、第4楽章です。この楽章は動きが細かい上に、音が厚くて混濁しやすい、という難点があるのですが、今回の演奏では音が“団子”にならず、すべて分離して明確に聴こえました。横の広がりや奥行きも感じられるスケールの大きな演奏でした。


シューマンの弱点とされがちな部分を逆に魅力に変えたオスカー・ヨッケルさんの手腕に脱帽しました。


また、オスカー・ヨッケルさんは、音量の変化にも細心の注意を払っていて、音のダイナミクスの振れ幅が大きくなっていました。このことによって、音量の変化が「(心象)風景の変化」にも聴こえる瞬間がありました。クレッシェンドが時間の流れそのものを変えていくように感じらました。そして終楽章のスケール感、これはまさに、グスタフ・マーラー的な感覚でした。シューマンからマーラーを感じた経験は初めてでした。


春は単なる季節ではなく、音が空間に芽吹く瞬間そのものでした。


曲の冒頭からフィナーレまで、余すところなくシューマンを堪能することができました。オスカー・ヨッケルさんは群響初登場ながら団員の心をがっちりと掴んでおり、凄い指揮者だと確信しました。日本初登場が群響だったことを心から嬉しく思いました。

オスカー・ヨッケルさんには、是非また登場し、私も大好きなシューマンの交響曲をコンプリートしていただきたいと思いました。

今シーズンの開幕を飾る素晴らしい演奏会でした。









 
 
 

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