2024年9月22日(日)、群馬交響楽団「第601回定期演奏会」は、オルフ「カルミナ・ブラーナ」が、常任指揮者飯森範親(いいもり のりちか)によって、壮大なスケールで鳴り響きました。
<今回の曲目>
モーツァルト/4つのメヌエット K601
ベートーヴェン/交響曲第1番
オルフ/カルミナ・ブラーナ
→指揮:飯森範親
ソプラノ:安川みく
テノール:前川健生
バリトン:大西宇宙
合唱:群馬交響楽団合唱団
児童合唱:群馬大学教育学部附属小学校音楽団合唱部
・1曲目のモーツァルト/4つのメヌエットは、第601回に因んで、K601の作品で幕を開けました。600回を超え、新たなスタートを感じさせるはつらつとした演奏でした。
・2曲目のベートーヴェン/交響曲第1番も、古楽器奏法によるスピード感に溢れた、メリハリのある快演でした。ティンパニが思い切りよく響き渡り、後に続くベートーヴェンの交響曲群の連なりを予感させます。また、今後の群響への期待も高まりました。
・今回のメインである「カルミナ・ブラーナ」は、群響だけでなく、ソリスト、合唱団、児童合唱団による総力戦の舞台芸術でした。ソリストや合唱団がある意味主役でしたが、特筆すべきは児童合唱団だったと思います。曲のイメージぴったりのかわいらしく清らかな歌唱は全曲の白眉だったと思います。指揮者の飯森さんが、カーテンコールで小学生たちを舞台の前面に連れてきて、頑張りを称えていた瞬間には、私もこの演奏会に立ち会えた喜びがこみ上げてきました。子どもたちにとっても、最高の思い出になったと思います。また、今月で退団されるヴァイオリン奏者にも大きな花束で祝福していました。指揮者の飯森さんは、指揮者としての実力もさることながら、毎回、楽団員や共演者へのさりげない気遣いや心遣いをされる方で、いつも敬服しています。こうした人間性も、その場にいる人の心を一つにし、演奏を高度にまとめ上げる大きな求心力になっていることを感じました。
ところで、「カルミナ・ブラーナ」のテキストは、11世紀後半から13世紀初頭に、エリート社会からドロップアウトした放浪学生や学僧によって書かれた詩に由来しています。オルフは、当時の若者たちの春の到来の喜びや恋の予感、世の中への不満、愛の物語などについてテキストを作り上げ、苦悩や歓喜に満ちた強烈な生命力を表現しています。
この曲は初めて生で聞きましたが、人間が考え、思いを巡らしていることは、今も昔もちっとも変っていないんだなと思いました。たとえ、それが運命であっても、志半ばで潰えたとしても、何かを信じて生き続けることによって、過去は未来へと続いていることを感じました。
曲と演奏の素晴らしさに酔いしれ、幸福な気持ちになった演奏会でした。
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