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​身近な風景

美味しいもの見聞録㉜

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 5月14日
  • 読了時間: 5分

2026年5月11日(月)10時、足利市山前公園の養蜂場を訪ねました。足利市内で養蜂業を営む「みつばちふぁーむ」の山崎さんご夫妻に、アカシヤ蜜(ニセアカシア)の「採蜜」を見せていただきました。

「みつばちふぁーむ」の山崎守男さんとは、2025年の6月18日に初めてお会いし、養蜂を始められたいきさつなどを伺いました。美味しいもの見聞録③


その時はすでに採蜜の時期は終わっていましたので、今年こそ採蜜の様子を見学させていただこうと思ってました。


山崎さんの養蜂場は足利市内や群馬県などに3か所あるそうですが、そのうちの一つ「山前公園の養蜂場」を訪問しました。ここはミカン園の跡地だそうです。

並んでいるのは、ミツバチの巣箱です。

巣箱の中には、ミツバチが巣を作るための「巣枠(すわく)」が入っています。その枠ごと取り外して管理できる「巣枠式養蜂(すわくしき・ようほう)」が行われています。

巣箱の中には、ミツバチ(セイヨウミツバチ)が、ぎっしり入っています。


ミツバチが集めてきた蜜を採るため、巣枠についているミツバチを取り除きます。

その際、ミツバチが襲ってこないように、「燻煙器(くんえんき)」と呼ばれる道具を使って木片を燃やし、出てくる煙を巣箱に送ります。杉の朽木などが使われることが多いそうです。


煙の効果には、主にこんな理由があるとされています。


①警戒フェロモンをかき消す

 →ミツバチは危険を感じると警報フェロモンを出しますが、煙がそれを感じにくくします。

②山火事を連想する

 →ミツバチは蜜を吸い込み、逃げる準備を始める。


その結果、一時的に攻撃性が下がります。


大人しくなったミツバチは、簡単に巣枠から刷毛で払い落とされます。

蜜がいっぱい詰まった巣枠は、採蜜機に運ばれます。


ここから、いよいよ採蜜です。奥様が担当されています。

まずは巣枠を取り出し、白い蜜蓋(みつぶた)を削り取ります。


さて、蜜蓋とは何でしょうか?


ミツバチは、集めてきた花の蜜を巣房の壁に貼り付け、翅で風を起こして水分を蒸発させます。20%程度の水分量になると、体内の「蝋腺(ろうせん)」から分泌するロウ状の物質である「蜜蝋(みつろう)」でふたをします。これが「蜜蓋(みつぶた)」です。


蜜蓋(みつぶた)を取り去ることで、巣穴の中に貯められた蜜が外に出ることができます。


削り取られた蜜蓋(みつぶた)の裏側には、蜜がたっぷりとくっ付いています。

その蜜蓋(みつぶた)のひとかけらを口に含むと、採りたての蜜の豊潤な香りと濃厚な甘味が広がりました。まさに初夏の味わいです。


ところで、蜜蓋(みつぶた)は捨てられるゴミではありません。


蜜蝋キャンドル(寺院や教会)、化粧品・保湿クリーム、木工・革製品の保護ワックス、天然のコーティング材、和蝋燭・仏具などに使われています。


蜜蓋の成分である蜜蝋(みつろう)は、ミツバチが作り出した重要な副産物なのです。


蜜蓋を削り取った巣枠を、採蜜機(遠心分離機)の中に入れます。

採蜜機に3枚の巣枠を入れ、スイッチを入れると、勢いよく回転します。

採蜜機のドラムが回転すると、遠心力で蜂蜜が巣から飛び出し、内壁を伝って下に集まります。それをコックから取り出します。

青いバケツに溜まった蜂蜜は、ミツバチや蜜蓋の破片など、さまざまな不純物が含まれているため、三重になっている金属のネットで濾されます。それが「蜂蜜缶」の中に溜まります。

この「蜂蜜缶」が一杯になると、約24キロ。

この日の採蜜の目標は「蜂蜜缶」4つ分(約100キロ)ということですが、すでに3つは一杯になっています。今日は16時ころまで採蜜が行われる予定です。

目標は軽く超えそうですね。今年も良質のアカシア蜜がたくさん採れました。


「蜂蜜缶」に入った蜂蜜は、さらに布で濾して、細かい不純物を取り除いたのち、容器に小分けされて店頭に並びます。


つまり、「みつばちふぁーむ」の蜂蜜は、採れた蜂蜜を加熱処理せず、生の状態で販売しています。濃度の高い蜂蜜は、数年たっても風味は変わらないそうですが、賞味期限は1年間としています。




ミツバチは春から夏にかけてが繁殖期です。巣箱内には、1匹の女王バチが毎日、自分の体重に匹敵する1000卵前後の卵を産みます。寿命は2~3年程度です。


卵から孵化した働きバチ(メス)は、生殖以外のすべての仕事を受け持ちます。寿命は1ヶ月くらいしかありません。


一方、雄バチは、春の繁殖期(通常4月から6月)にのみ生まれます。雄は巣内では働きバチのような仕事は行わず、性的に成熟すると、分蜂のための交尾飛行に出かけます。


一般社団法人日本養蜂協会HPより ミツバチの生態 | 一般社団法人日本養蜂協会



茶色い蓋がしてある巣の中では、幼虫が成育しています。

穴の中で、白っぽく見えるのが幼虫です。


ちょうど、雄バチが孵化していました。


今日一日で、「アカシア」の採蜜が終わりました。つぎは、シイ、カシ、エゴノキなどが蜜源となる「初夏の蜜」の採蜜が始まります。

ミツバチたちは、足利大学に隣接する浄水場に生えているシイ、カシ、エゴノキなどに向かって、巣箱から飛び立ちます。


採れたての生の蜂蜜は、蜜源の種類は同じであったとしても、採れる場所によって味が違うそうです。


山崎さんご夫妻によって、ご当地の新鮮で濃厚な蜂蜜を味わうことができるのは、最高の贅沢ではないでしょうか。



PS:後日(15日)、山崎さんのご自宅にある作業場を訪ねました。あの日、山前公園では「蜂蜜缶」で11缶も採れたそうです。目標4缶の3倍近い収穫です。

採れたての「アカシア蜜」を分けてくださいました。

パンに付けて食べると、初夏の香りと味わいが体中に染みわたりました。

間違いなく、初夏一押しの「美味しいもの」です。


今回の取材にあたり、山崎さんご夫妻には大変お世話になりました。

ありがとうございました。


山崎さんの蜂蜜は、JA足利農産物直売所「あんあん」などで購入することができます。

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