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​身近な風景

群響:ベートーヴェン6&7

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 7 時間前
  • 読了時間: 3分

2026年3月22日(日)、群響によるベートーヴェン交響曲全曲演奏会の第4弾として、交響曲第6番と第7番の演奏会がありました。

会場は、前橋市の「昌賢学園まえばしホール」、指揮者はピエタリ・インキネンでした。


インキネンはフィンランド出身ということもあり、コンサートは名刺代わりにシベリウスの交響詩《森の精》という6分程の小曲から始まりました。初めて聞く曲でした。いつもの高崎芸術劇場の音響とは違って、このホールは音の分離や抜けの良さはいまいちだけど、音の芯はしっかり聞こえる、と思いながら聴いていました。はたして、ベートーヴェンだとどのように聞こえるのでしょうか。実は、それが今回のコンサートのキモになっていました。



ベートーヴェンは交響曲第6番から始まりました。

まず、この写真のように、オーケストラの配置が独特であることが気になりました。


通常は第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンは、向かって左側にまとまっている現代配置ですが、今回はヴァイオリンが左右に分かれる対向配置をとっています。ビオラは右側、チェロは中央左〜中央に位置し、さらに注目すべきは、コントラバスが左奥にいます。


対向配置は古典派の曲の演奏では時々見かけますが、左奥にコントラバスというのは初めて見ました。このような思い切った配置にしたインキネンには明確な意図があったことが、曲が始まると明らかになってきました。


第6番では、左右で揺れるような呼び交わしが立体的に聞こえ、田園の空気感が横方向にも広がって聞こえました。ビオラが右側に広がっているので埋もれることもありません。


特に第4楽章「嵐」では、中央のチェロが地鳴りのように聞こえ、左奥のコントラバスが嵐の渦や、空間全体に広がる不安定さを表していました。ここではチェロが音楽の主軸になっています。


一転して第5楽章では、左右の弦が呼び交わし、中央のチェロが安定を作ることで、空が晴れて、景色が整う解放感や幸福感を感じさせてくれました。


インキネンの変則的な対向配置は、音が飛び交う面白さを生み出し、ホールの特性をプラスにも変える音の魔法を見るようでした。


第7番では、さらにこの配置のメリットが功を奏しました。リズムの交響曲と言われるほど、推進力と反復が命だからです。どこで呼応しているか、どこでリズムが噛み合うか、どこで内声が支えているかが、空間で見える化されていて、聞いていてとてもスッキリしました。第4楽章では左右のヴァイオリンがまるで火花のように応答し合い、熱狂が横に広がりました。

最高の盛り上がりで演奏が終わりました。


一番大きな拍手が沸き起こったのは、ティンパニーでした。今回、ティンパニーの響きは特にホールに馴染んでおり、オーケストラのど真ん中で音楽を推進させた役割は大きかったと思いました。本当に気持ちの良い鳴りっぷりでした。


インキネンの演奏には、ベートーヴェンを構造で鳴らしたい、という強い意図を感じました。そして、群響はそれを高い精度で実現してくれました。テンポもこれ以外はありえないと思える納得感がありました。

今回はホールのハンディをプラスに変えてしまうほど、伝えたいことが明確な素晴らしい演奏でした。

 
 
 

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