馬にまつわる物語⑫
- tokyosalamander
- 8 時間前
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2026年5月16日(土)、佐野市葛生伝承館で開催されている「五月人形展」を訪れました。会場には、武者人形、掛軸、のぼり、甲冑飾りなど、端午の節句にまつわる品々が並んでいました。その中で、私が特に惹かれたのは「馬」の存在でした。今回は「五月人形の中の名馬たち」を紹介します。


掛軸には、白馬や黒馬にまたがる武将たちの姿が数多く描かれていました。

勇ましく前脚を上げる馬。
風になびく鬣(たてがみ)。
赤や紫の豪華な総(ふさ)飾り。
そこに描かれていたのは、実際の軍馬というよりも、「英雄を乗せる理想の名馬」の姿のように思えます。
特に白馬は、
神聖
高貴
勝利
出世
を象徴する存在として好まれてきました。
五月節句が「男児の健やかな成長と立身出世」を願う行事であったことを考えると、白馬はまさに理想の象徴だったのでしょう。
展示室には、小さな馬の人形も並んでいました。

赤い房飾りをまとい、華やかな鞍を付けた白馬たちです。
興味深かったのは、掛軸の馬と立体の馬が、よく似た姿をしていたことです。
首を高く上げる姿勢
長い総飾り
紫や赤の装飾
優美な細身の体
平面の武者絵の世界が、そのまま立体化されたようにも感じられました。


かつて「馬」は憧れの存在であり、特別な存在でした。
戦場を駆ける軍馬。
祭礼を彩る神馬。
人や荷を運ぶ働き馬。
馬は、人々の暮らしや祈りの中に深く結びついていました。
だからこそ、五月人形の世界にも、多くの「名馬」が登場したのでしょう。
そこには、
「強く、たくましく、立派に育ってほしい」
という願いが込められていたように思います。

華やかな装飾の奥に、日本人が抱いてきた“馬への憧れ”が見えてくるようでした。
五月人形の中の名馬たちは、単なる飾りではなく、人々の願いや理想を乗せた存在だったのかもしれません。

今も「鯉のぼり」に託されている子どもたちの健やかな成長と未来。
「五月人形の中の名馬たち」がその想いを受け止めていた時代があったのかもしれません。




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